「最底辺から始めれば失うものはない」 エフルート株式会社 取締役COO 貝谷 實榮

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エフルート株式会社
取締役COO 貝谷 實榮

1975年3月15日生まれ 埼玉県出身 千葉県、山梨県在住(単身赴任)
高校卒業後、通信会社を経て山梨県でITビジネスで起業。その後、インターネットベンチャー企業にて営業責任者を務め、エフルート株式会社に入社。2008年、COO就任。


COOまでの道のり

 「起業を経て、今はモバイルベンチャー企業のCOO」なんて言えば聞こえが良いかもしれませんが、僕はもともと頭がよいわけでもないですし、学歴が良いわけでもありません。高校卒業後、通信系のベンチャー企業にて営業に従事させて頂きました。それなりには仕事をさせて頂いた気もしますが、決して凄い営業マンではありませんでした。

 その後、実家の都合で家業の手伝いをしている中で、ビジネスチャンスを感じて起業しました。会社はそれなりに順調だったのですが、やはり地方経済の閉塞感は否めませんでしたね。その後、家業も落ち着いてきたので、東京で再度勝負をしようと思い飛び込んだのがモバイルの世界でした。それまで、通信関連やIT関連に携わってはいたのですが、本当のインターネットビジネスには程遠いものでした。でも、これからのビジネスチャンスを考えると、「インターネット/モバイル」というキーワードから逃げてはいけない。学歴も良くないし、頭が良いわけでもない僕にはこれしか方法がないと思いました。

 

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「最底辺から始めれば失うものはない」

 東京に戻り、就職させて頂いた会社は、モバイル業界ではヒエラルキーの最底辺の仕事をする会社でした。もともと判っていたのですが、不人気カテゴリーでしたし、ある程度の不遇は想定内。でも僕はモバイルに関しては完全な後発組、当時すでに28歳と、この業界で働く中では中堅にあたる年齢に達していて、最底辺からでもチャレンジさせて頂ける事は有難かったですし、最底辺から始めれば上がるしかないと思ったんです。 なんせ最底辺ですので(笑)

 その会社では、本当に良い経験をさせて頂きました。不人気カテゴリーだったこともあるでしょうし、小さな会社でしたので、ずば抜けた経験者が居るわけでもなく、暗中模索をしながら必死に努力だけはしましたし、それに対して過分な評価も頂きました。実際、入社してまもなく営業の責任者を任せられるようになり、理不尽な仕事が増えました(笑)

 その後、縁があって現在のエフルートに籍を移すのですが、エフルートでも営業スタッフから始めさせて頂きました。前職と比べると、さらに専門性が高くなったのですが、スタートが最底辺なので上がるしかありません(笑)。特にモバイルの検索、コンテンツ、エンターテイメントの世界は若い人が主役なので、教えて頂くのもみんな僕より歳下のメンバーばっかり。「そんなことも知らないんですか?」なんてコケにされながらも、なんせ僕は「最底辺の男」ですから、気にならなかったですね。逆にプライドが高い中途入社の方で、歳下のスタッフに首を垂れることができずに苦しんでいる姿を見たりすると、自分のそれまでの不遇に感謝することもあったりしました。

 

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COOに就任して

 2006年に取締役に就任し、2008年に取締役COOに就任しました。

 現在は、代表取締役社長の尾下と共におよそ100名になる組織で、相変わらずの仕事をしています。ベンチャーのCOOという仕事に就いていない方がどういうイメージをお持ちなのかは分からないのですが、おそらくイメージとは遠く懸離れていると思います。確かに重要な経営判断に関わったりもしますが、別にそれだけが仕事な訳でも無いですし、どちらかというと現場と一緒になって数字を追いかける事の方が多いと思います。決して名ばかりとは居ませんが、会社にとって業績は何より大事である以上、業績に近い仕事を率先してするのがCOOの務めでは無いかと僕は考えております。だからこそ他の役員よりも事業の成長、人の成長を常に感じる事が出来ますし、当然ではありますが、全てが自分次第であるという緊張感と、やりがいを持って仕事に従事できます。これはCOOという仕事の素晴らしさなのではないかと思います。

 何度も申し上げるとおり、特に優秀な訳でもなく、際立った経歴がある訳でもなく、立派な学歴がある訳でもないのに、僕のこの重要な仕事を与えてくれている、株主、社長、役員、従業員には感謝しておりますし、出来る限りの事をしなければ罰が当たると思っています。僕がそれなりに今の仕事が出来ていると、他人様から評価されることがあるとすれば、これが理由だと思います。それぞれCOOという仕事をしている、これからしようと考えている方が、どういう境遇にあるかは別として、自分をCOOという立場に推薦してくださる株主をはじめとした関係者への感謝の気持ちを忘れず、株主、顧客、従業員へ徹底的に奉仕する事が大切だと思います。

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