「CFOです。営業してます。美容を語ります。」 株式会社アイスタイル 取締役兼CFO 菅原敬

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Q1,2011年4月にCFOに就任していますが、そもそも菅原さんって経理出身ではないですよね?

 そうなんですよ。上場の時はまさにIRの勉強中で、様々な業種の方を紹介してもらいファイナンスの世界での作法を教えてもらっていました。上場前は上場だけに集中できたんですが、上場してから東証一部への市場変更の間には海外法人の設立と1社のM&A、そして1社の資本提携をやり、同時にIRの勉強をしていたので結構忙しいというかパンパンでした(笑)。でもすごく楽しかったです。今でも楽しいですけどね。

 未経験からのスタートでしたがIRは面白いですね。インターネット事業に実務として関わった事がない証券会社(セルサイド・バイサイド)や個人投資家の方々にどれだけうちの事業の本質をお伝えできるかは、それ自体はすごく難しいです。しかし彼らは僕らが持ってない視点もたくさん持っています。証券会社の方々はITセクターとかインターネットセクターと言われるネット業界に詳しいファンドマネージャーとアナリストばかりです。実務経験はないといっても、下手な業界人より詳しいですよ。全体像を比較しながら話をされるので面白いし、勉強になりますね。

  正直まったく経験のないIRがここまで面白いと自分が思えるとは想像していなかったです。「俺は個人投資家や機関投資家に自分たちの会社の株を買ってもらう営業マンなんだ」って考えると、すごくハードルが高くて盛り上がるわけですよ(笑)

 僕の中ではCFOは営業という感覚です。元が数字を作る側にいただけに(笑)
なので僕はCFOという意味ではまだ結果を出せてないというステージです。ちゃんと株価を上げて、資本市場にいかに正しく理解してもらうかが重要だと思っています。

ただ、事業を作るというところもやりたいですね。個人的に興味もありますし、どちらもやりたいです。コーポレート部門を統括しながら営業マンとして数字を作れるくらいになれたら理想的ですね。

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Q2,経歴について教えてください

 前述した通り僕はファイナンスのバックグラウンドはありません。
ただ大学卒業後、大学院でMBAを取り、そのあと1年弱イギリスで化学メーカーの財務アナリストをやっていたので、知識と実務は0ではないんです。

コンサルティングも2社、8年くらいやっているので会計やアカウンティングはわかるんですが、ファイナンスは正直あまり詳しくありませんでした。

アイスタイルは99年に設立して、これまでも上場のチャンスはありましたが、今回の挑戦で2012年に上場を果たせました。僕がアイスタイルに常勤で入ったのは2004年からで、一番最初は広告のサービス設計でした。それからCIOと子会社社長を2つ経験しましたが、上場する時には取締役の中から1人常勤の開示担当取締役を選定しなきゃいけなかったので、2011年の3月末で子会社の社長を退任し、2011年の4月からCFOとしてコーポレート部門を統括しています。

 世の中のCFOは公認会計士や経理、証券会社などを経験している方が非常に多いわけですが、僕はだいぶ違って、元々は数字を作る側の人間なんです。ようは営業マンです。

だからCFOに就任して最初のショックが、グループ予算会議で「あれっ、俺、数字報告しないんだ、数字報告される側なんだ」と。それがすごく居心地悪くて。数字作らないと価値がないというマインドでずっとやってきたのに「数字作らなくて仕事って成り立つんだ」みたいな(笑)。数字を作る側の苦労もわかるから冷徹に突っ込めなかったり。そういう意味で、かなり最初は難しかったですね。

 CFOって会社によってミッションの定義や幅が違いますよね。
僕の場合は結構幅が広くて人事まで含まれています。自分の経験のある分野、ない分野、ノンファイナンシャルバックグラウンドでも、実務でわからないところはエキスパートの部下に相談しながらなんとかする。要は経営に対する明確な意思決定が僕の仕事ですね。

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Q3,CFOのキャリアは想定してましたか?

予想外の連続です(笑)
今はビジネスパートナーになっちゃいましたけど、吉松は元々友達だったので、創業の前から手伝っていました。事業がいまいち軌道に乗っていなかった2004年に、何とかしてあげたいという気持ちで入社したんです。

だから最初はやったことのないインターネット広告の仕事を、広告代理店の出しているメディアブックなどを見ながら「セルスルーってどう設計すればいいんだ?」とか「CPO単価どうする?」とか言いながらやっていました。その後も、過去にITコンサルティングの経験があるので若干システムはわかっていましたが、まさか自分がCIOやCFOをやるとは思いませんでした。でもベンチャーってそういうものですよね。

 CTOとCFOは似てる気がするんです。
専門職が仕事の真ん中ではあるけれども、専門職だけじゃない。テクノロジーだけで引っ張るCTOもいればいいし、ファイナンスのプロで資金調達やM&Aを繰り返していくCFOもいてもいいと思うんですよ。

 でも、僕はもっとオールラウンダーなCFOを志向してるし、僕はそれでしか戦えない。逆に、ベンチャー企業にはそういうCFO像が求められてるんじゃないかなと思います。
自分もまだ中途半端ですが、そういうのを他社の若いCFOに見せていかなきゃいけない立ち位置にあるのかなと思っています。 

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Q4,ファイナンスより化粧品に詳しいんですか!?

そうなんですよ、化粧品めちゃくちゃ語れます(笑)
うちの事業を語るにあたっては、ネットとかマーケティングの切り口の話もできなきゃいけないし、化粧品とか美容の話もできなきゃいけない。

僕は数字を作っていた側なので、クライアントの化粧品メーカーさんと長く過ごしているうちに、仕事として少しずつ理解してきたんです。美容トークだけで3時間くらいビール飲み続けるとか平気でできちゃうんですよ。なので美容が語れるCFOです。

あとはEC子会社をやっていたときに色々なEC会社の経営者を集めて勉強会をたくさんやっていたのでECも語れます。

ファイナンスはスペシャリストじゃないですけど、美容とマーケティングとECはスペシャリストのCFOです。これは珍しいと思います。ファイナンスは、絶賛勉強中です(笑)

 

 

 

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