「『周りに理解されなくてもいい』 金髪アーキテクトが語るポリシー」Sansan株式会社 Chief Software Architect 藤倉成太

 

略歴
中央大学卒業後に株式会社オージス総研入社。同社にて、シリコンバレーでは R&D や現地ベンチャーとの共同開発等に従事。Sansan株式会社にて、名刺管理ソリューションである「Sansan」のアーキテクトを担当。

Q:今回は、Sansanの藤倉さんのインタビューさせていただきます。早速ですが、なぜ金髪なのですか?(笑)

藤倉:
その質問から入るんですね(笑)
結論を言ってしまうと「僕が良いと思うから」です。
入社時は長髪だったのですが、飽きてしまって。金髪にしよう!と思って勢いでやってしまったのですが、いろいろなところで覚えてもらえるので、結果的にはやってよかったなと思っていますけど。
何に対してもそうなのですが、価値観として、「僕がカッコいいと思うか否か」はすごく大事にしています。僕の価値観に対して周りから理解されなくても、正直なところ何とも思いません。人の意見を聞かない、という意味ではないのですが、仕事にしても、服装にしても、プログラミングにしても、この感覚は共通して持っていますね。

 

Q:昔からそういった考えはもっているんですか?

藤倉:
そうですね。学生時代から変わっていないと思います。
就職活動の時も、もともとは精密機械科出身なのでハードウェアの設計をやりたいと思っていたのですが、ハードウェア業界に就職したら「作業着にシャツにネクタイ」姿で仕事をすることがわかりました。その格好がどうしてもカッコいいと思えなくて・・・すみません低俗で(汗)
でも、ものづくりはしていきたかったので、ソフトウェア業界にシフトしました。

 

Q:新卒で入社されたオージス総研社を選ばれた理由は何だったのでしょうか?

 

藤倉:
ソフトウェア業界について勉強しているうちに、「シリコンバレーというすごいところがある」ということを知り、そこに行くチャンスがある企業のひとつとして選びました。僕が入社した1999年当初は、「オブジェクト指向」で非常に注目されていた企業です。優秀なエンジニアが集まっていました。会社説明会の中で、他のIT企業が「○○業界の業務知識が必要で・・・」という説明をしている中で、技術志向が強い話をしていたのも魅力の一つでしたね。
入社してからは口癖なんじゃないかってくらい(笑)「シリコンバレー行きたいんですよ」と言っていました。
入社して3年目の終わりごろ、常務に呼び出されて、シリコンバレー行きのチャンスをいただきます。
シリコンバレーでの経験は非常に貴重で、現地で知り合ったエンジニアたちは、仕事を大成させるべく自分の国に帰っていない人も多く、自分の仕事に「人生かけているな」という印象は強かったですね。彼らからはいい刺激を受けたと思います。

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Q:念願が叶ったわけですね。そこからSansanに参画する流れになるかと思うのですが、経緯をお話いただけますか。

藤倉:
はい。
ITの世界が「個別最適」の世界から「全体最適」に変換する流れがあり、25,6歳のときにクライアント企業の上層部の方々とお話する機会が増えたんです。それまではバリバリの技術屋でしたから、上層部の方々がお話するビジネス的な内容が全くといっていいほど理解できませんでした。
シリコンバレーで仕事をしているときに、日経新聞を読んでいて、金沢工業大学大学院の東京校が開校するという内容の記事を見て、即座に「行こう!」と思いました。僕はそこの3期生になります。

入学してからは勉強、勉強でした。
今でも覚えているのですが、4月の入学初日に「ブルーオーシャン」という言葉が出てきたのですが、その意味が全くわからなかったんです。これはまずいと思って、家に帰ってから、授業の中でわからなかったキーワードに引っかかった本をアマゾンで買いあさりましたね。1ヶ月で20冊くらい本を読んでいたので、そのときの経験は今の考え方のベースにもなっています。通学中の1年間は、勉強に時間を割くため1日1~2時間睡眠でやっていて、仕事をしながらだったのでヘロヘロでしたが、「案外気合いでやっていけるんだな」と実感しました(笑)

在学時は、同級生が大手保険会社の部長さんや、大阪で不動産ビジネスをゼロから立ち上げた方など。担当教授に関しては、自ら某有名コンサルティングファームを経営する社長でもあり、授業を行った後、僕たちと飲みに行っては仕事に戻るような生活をされていました。そこにいらっしゃる方々はみんな優秀で、僕は当時29歳でしたが、20代でそういった環境にいられたことは良かったなと思っています。

そこで勉強をしていくうちに、「自分はこのままではイケナイな」という考えが芽生えてきましたし、研究開発のようなことをするよりも、直接的に価値提供ができるようなビジネスに携わりたいと思うようになりました。そこで転職を決意し、Sansanへ入社しました。

 

Q:Sansanを選んだ理由は何だったのでしょうか?

藤倉:
ポイントとしてはいくつかあるのですが、一つは「実際のものと情報技術がつながるようなサービス」であることですね。僕自身の価値観として、泥臭いことが好きなんです。物理的に物を動かすって大変じゃないですか。アマゾンが良い例だと思いますが、あのロジスティックスは一朝一夕に組めるものではないですし、それが参入障壁になっていると思うんです。Sansanは、実際の紙の名刺を電子の世界に移すわけですが、情報技術の中だけで完結してしまうサービスより難しさがある。そこにやりがいを感じましたね。

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Q:「Sansan」のアーキテクトとして、技術面のお話をお伺いできますか?

藤倉:
Sansan では Microsoft テクノロジーとオープンソーステクノロジーを適材適所で組み合わせいます。言語的にはASP.NET C# で開発していますが、データベースには PostgreSQL を使っています。Web 層のキャッシュには Redis を使って性能向上を図っています。
Sansan は Web サービスですが、サービスを利用していただくために必要なのはブラウザだけではないんです。名刺をスキャンするためにオフィスに置いていただくスキャナとタブレット PC をお貸し出ししています。このタブレット PC にも、当社が開発しているアプリケーションがインストールされています。さらに、サービスを開始するには、名刺のデータ化を行うためのシステムも Windows Forms で構築する必要がありました。これらを少ない開発者で効率的に開発するために Microsoftテクノロジーを選択したわけです。
一方で、サーバ OS やデータベースは目的に適したものを適切に選定したかったため、データベースに SQL Server を選ぶのではなく、自分たちに合ったものを、ということで PostgreSQL を選びました。
Sansan 開発の方針としては、「自前主義」と言いますか、かなりの部分を自分たちで用意しています。これは、開発には若干のパワーが必要にはなりますが、自分たちの頭で考え、自らの手で構築したものを使うことで、組織全体における技術力の向上を期待することができます。

 

Q:技術面での、藤倉さんのこだわりとはどんなところでしょうか?

 

藤倉:
個人的な話でいうと、僕自身は「いかにカッコいい、センスのいいコードを書けるか」というところは勝負どころだと思っています。だから、Sansanの中で、自分よりイケてるコードを書いているメンバーがいると、素直に尊敬しますが、かなり悔しいですね。
余談ですが、ファッションの面でもすごくおしゃれなメンバーがうちの部にいて、そういった面でも「あいつカッコいいな」と嫉妬してしまいます(笑)

 

Q:仕事に対する考え方はいかがでしょうか?

藤倉:
そうですね。
仕事に対しては、オン・オフみたいな考え方はありませんが、平日は仕事をしっかりして、土日は趣味の時間にしています。ボルダリングに行ったり、家族サービスをしたり・・・。
現在は結構働いていますが、実は、オージス総研時代はずっと19時頃には退社していました。当時の話ではあるのですが、「残業は能力が低い人がやるもの」だと思っていたんですよ(苦笑)今は、若い頃はがむしゃらに苦労するべきだと思っているので、もったいない20代をすごしたなと後悔しています。
プログラミングは大好きで、夜通しプログラミングするのも、徹夜でゲームするのと感覚は変わらないので、苦ではありません。土日でもやりたい開発があればやってしまいます。僕が考える「カッコよさ」に対して妥協せず、価値あるサービスを提供していきたいと考えています。

 

Q:ありがとうございます。ちなみに記事をみて藤倉さんに興味を持った方は、どのようにアプローチすればいいですか?

藤倉:
そうですね。さっきもお伝えしたのですが、ボルダリングをやるので、一緒にスポーツをするところから交流出来ると嬉しいです。
ぜひボルダリングしましょう!

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