「性格は正反対、しかし、目指すゴールは同じ」 株式会社レアジョブ 代表取締役 最高執行責任者(COO) 中村岳

 interview00601

株式会社レアジョブ
代表取締役 最高執行責任者(COO) 中村岳

1980年9月11日生まれ 東京都出身 東京大学工学部・大学院情報理工学系研究科卒業後、NTTドコモ入社。中学・高校の同級生だった加藤智久氏と2007年に株式会社レアジョブを創業、代表取締役 最高技術責任者就任、2012年7月に取締役 最高執行責任者就任。    


COOまでの道のり

 大学ではP2Pに関してインフラ寄りの勉強・研究をしていました。卒業後はこの知識を活かすべくNTTドコモに入社し、通信に関しての技術を研究していました。
 在学中から世の中にインパクトを与えられる仕事をしたいと思っていましたので、常に新しいサービスの種は探していました。06年頃から現CEOの加藤と一緒にアイディアを出し合い様々なサービスのトライアルを行っていました。
 その中で、中国語のオンライン会話サービスを提供したことがあります。中国人の友人がskypeで会話しているところからサービスを思いついたんですが、これがうまく行きませんでした。無料にしても会員数が伸びないのでユーザーに聞いてみると「英語だったらやるけど・・・」というフィードバックを多く頂きました。トライ&エラーを繰り返しながら、改善をしてきた結果が今の事業につながっています。
 
 その後、フィリピン人講師のオンライン英会話事業を始めようと決めましたが、最初はフィリピン人のつてもなかったので加藤が休日に直接フィリピンに行き、フィリピン国内の大学にビラを貼ったりして講師を募集しました。加藤と私で創業し、初めて採用したのは現地で働くフィリピンの方です。その方をフィリピンでのパートナーとして現地での採用を拡大していき、現在では3000名の講師、180名の社員を抱えるまでになりました。(フィリピン国内のみ、パート・アルバイト含む)
 
 この事業で一番難しいのはフィリピン人の講師を集めて、マネジメントし、クオリティ維持をすることです。日本のみではなく二カ国間で事業を回していく必要があるので言葉の壁を越えて、考え方を理解して一つ一つ解決していくことが重要です。

interview00601

 


性格は正反対な代表取締役

 立上げ時はCEO(加藤)とCTO(中村)の2人で創業しました。
 最初は2人しかいないのでCEO,CTOと役職を就けました。サイト制作、講師マネジメント、採用、マーケティング、法務、会計など、最初は何でも担当し、数年間はカスタマーサポートも加藤と分担しながらやったりしていましたね。私自身はバックグラウンドが技術畑なので技術・システムの部分を中心に業務を担当していましたが、その後、優秀な技術者の方に入っていただき、日本のシステム部分の業務を引き継ぎました。2012年7月からCOOという役職で職務にあたっています。
 
 ビジネスパートナーを決める中で、営業×営業、技術×技術ではお互いの強み・弱みが同じなので相乗効果が得られる事は少ないですが営業×技術、技術×マーケティングなど得意分野が違えばお互いを補完し合い新しいサービスまたは事業が生まれる可能性は高いと思います。どんな人とビジネスをすれば成功するかと考えた時に、たまたま中学・高校の友人だった加藤がいたんです。性格も正反対で、最近加藤の友人に会ったときも「全然タイプが違うね」と言われました。
 
 講演会などでも加藤は「英語を話せると世界でこんな活躍ができる」などの英語から広がる未来を伝えていますが、私はどちらかというと「英語を話せるようになるためには?」といった内容を伝えたりする事が多い。つまり加藤はビジョンを語り、私は方法論を伝えています。
 
 実は事業を始める前に撤退基準は決めていました。
 
 2007年10月に創業し、「3月までに、ここまで出来なかったら撤退する」と決め、全力で事業を進めました。幸いにも目標をクリアできたので現在があります。
 新しいものを作っていく事は辛い事も多いですが、あきらめずにやり、「日本人1000万人を英語が話せるようにする」というミッションを実現する事はとても面白い事だと思っています。

interview00602

 


 

COOを目指す方へ

 基本的には会社の事すべてをわかっている事が必要。事業の中核はなにか?売上・会員数、利益構造なども考えておかないといけないしCFO的な知識も必要。今後の事業展開として自社のビジネスも十分に知ることや、会社全体のビジョン・中長期計画も、システムの知識も必要です。大企業になればある事業部の指揮命令をするためにCOOとして役職に就く事があると思いますが、ベンチャーは大企業とはまったく違うと思います。「ある部分だけ詳しい」「その部分しかできない」人はベンチャーの経営者には向きません。頭と身体で数字や事業を覚えていないといけないし、そこをできるようにする。そこを意識して、日々トレーニングする事が必要です。
 
 例えばwebサイトに興味があるのであれば自分でシステムを組んでwebサイト立ち上げてgoogleアナリティクスで分析して、広告出して、お客さんが訪問して、クリックしてくれるように施策を考えて・・・などを延々と繰り返す。それは自分一人でできるし、今ではやりやすい環境になっているので、会社で働きながら土日にやるなど、誰でもできます。普段の仕事でも注意してみてみるとトレーニングの場はたくさんあります。私の場合は前職が研究職だったので数字をよく使う部門ではありましたが、意欲があればどんな人でもできるはずです。そして「こんなのが流行りそうだ」といった好奇心を持つことも必要です。試す。そうやっていろんなサービスを考えて作っていく。
 ベンチャーは何でもやらないといけないし、大変な事もたくさんありますが、そこが楽しいところでもあります。

interview00603