現場主義の思想を貫き、業界の荒波を乗り越える!

2013年3月期当期純利益・昨対比179%

現場主義を貫き通してきた株式会社ウィルグループ。
リーマンショックを乗り越えてきた鋼の組織には、揺ぎ無いビジョンと思想があった!



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池田様のプロフィールをお聞かせ下さい。

事業を起こしたきっかけは、株式会社セントメディアの前身となる株式会社ビッグエイドの立ち上げ時代に参画したことです。その後、2000年に私が代表になりました。当時は人材ビジネスのマーケットが拡大していたため、その分野で事業拡大を目指して取り組んでいました。

個人的な経歴としては、もともと経営者になりたいと考えていたため、会計事務所で経営の裏側を、ベンチャー企業でアーリーステージの内情を学び、そういった経験を持って自分で独立して事業を起こすという事を目標にやってきました。


■経営者を志した理由をお聞かせください。

母親を21歳という早い時期に亡くしたこと、また阪神大震災を経験して、諸行無常を感じました。当たり前にそこにあるものが無くなるということ、人間はいつか死ぬということを母の死から意識するようになり、自分が生きる意味を見つめ直しました。

死を見つめることによって、改めて生きることを強く真剣に考えたという点が大きいですね。そして、男としてこれからどうありたいかと考えた時に、自分を守れるように、また、自分が守りたいと思った人たちを、なんとしてでも守れる強い男になりたいと思いました。

この想いが、これから生きていく中での大きな軸となったわけです。そのためには、やはり成功した経営者になり、経済的に豊かになることでその想いが実現出来ると考え、経営者になりたいと考えました。


貴社の特徴である「ハイブリッド派遣」が生まれた経緯とは?
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池田:ハイブリッド派遣とは、弊社の常駐正社員「フィールドサポーター」と派遣スタッフを1つのチームとして顧客企業に派遣するサービスです。フィールドサポーターが顧客企業の就業管理や現場管理のサポートを行うことによって、顧客ニーズに的確かつ迅速に対応することが出来ます。

この仕組みが生まれた経緯はあまりキレイではないのですけどね・・・(笑)

結論から言えば、人が居なかったからです。創業期はお客様のニーズに応えられるスタッフがいないわけですよ。ですが、お客様から期待をして頂いて、与えられたチャンスですし、信頼を勝ち取りたい、裏切りたくないという想いが強かったので、そんな時には経営陣自ら派遣の現場に出向くことも多くありました。それが結果的に「ハイブリッド派遣」の原点となりました。自分自身がスタッフと一緒に現場で働くことを通じて、顧客の課題や特性が見えてきます。そこから、顧客ニーズに応じたスタッフへの指導や案内、フォローの仕方が理解出来るようになりました。

 派遣事業というのは、言ってみれば人材の供給を生業としているので、派遣する側は、お客様の現場の内情を知らなくてもビジネスとしては回ります。しかし、私たちは現場を知ることで、現場の要望に応えられる現場主義の派遣会社を作ることが出来ました。

 また、創業期には製造ラインの請負も行っていました。時間単位で料金をご請求をさせて頂く派遣契約とは異なり、より現場を理解し、正しい管理をしなければ、損失ばかりが増えてしまいます。私も当時は現場スタッフからの日報をチェックし、現場とのつながりを意識して仕事をしていました。そのような経緯があり、創業時から特に現場を大事にするという思想は強く根付いています。

 2006年のリーマンショック以前は、とにかく人員の確保を最優先に!未経験者でも良いからとにかく人の手が足りない!という状況で、私たちには「供給力」が求められていましたが、リーマンショック以降は一変して、生産性を意識されるようになり、現場で結果を出せる人や、スタッフのマネジメントを出来る人といった、従来よりもパフォーマンスの高さというものを求められるようになったのです。 

 そんな時に、私たちの現場主義の思想が役立ちました。お客様の求めるサービスと、私たちが大切にしている思想が重なり、現在の戦略としてのハイブリッド派遣にまで高まったわけです。

 現場主義が文化として会社に根付くことで、ハイブリッド派遣を強みとしてサービスを展開した結果としてお客様から求められ、評価して頂き、競合他社よりもシェアを獲得する戦略として成功することが出来ました。


■1990年代後半、プレイヤーの多い派遣事業の中で、貴社が生き残った要因は?
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池田:先ほどの現場主義の企業文化に繋がる所もありますが、良い戦略を打ち出したとしても、組織の思想みたいなものが伴わないと実行することは出来ません。当時に限って言えば、ベースとなる価値観作りが一つの要因と言えますね。企業風土や文化は、実際それぞれの社員の行動や目標によって作り上げられるものなので、各々の思想や思考が重要です。思考が行動になりますからね。

 創業期、名もない私たちは営業活動をしても門前払いになることが多かったのですが、それでも「根拠なき自信を持っていけ!」と毎日毎日受注を取りに営業にいくわけです。なかなか思う通りに行かず、受注ゼロの日々が続いたのですが、それでも「今日は取れる!!」と毎日自らを奮い立たせて営業していくわけです。根拠なき自信を持って。サービスというより、営業の努力で売り込んでいく。とにかく自分を信じて売り込んでいく、僕にまかして下さい!!と営業先で言い切る人間をどんどん増やしていったのです。それが、今現在の「Believe in Your Possibility.(自らと仲間の可能性を信じる)」というウィルグループ全体の価値観を作り出しています。創業時にそういった自分を信じることの出来る人材を育て、集めてきたから、現在のより質の高いサービスが可能になったと思いますね。


会社拡大に伴い、まず実施したこととは?
池田:まずは価値観の共有を徹底していきました。2003年からミッション・ビジョン・バリューと明確に言葉として目標を定めて、新卒採用にも力を入れ出し、いわゆる価値観採用という所に重きをおいてやっていました。

価値観の共有をすることによって、組織が拡大する中でも一つにまとまることが出来ましたし、同じ目標のベクトルを持てましたね。当時、セントウェイという行動原則を確立したので、全社が同じ方向を向いて仕事が出来、新卒採用の枠も増え、新たに目標立てをしていく事が出来ました。経営として「こうやっていくぞ!」という目標が決めてからの成長はスムーズでしたね。


ウィルグループのミッション(存在意義)とは?
私たちのミッションは「個と組織をポジティブに変革する “チェンジエージェントグループ”になる」です。その為に、社員に対して成長の機会を提供し、お客様の求めるニーズに対してお応えすることが、僕らの会社としての約束だと決めました。 

 そうした時に、私は、「事業とはミッションを達成する為のものなんだ」と思うようになったわけです。僕らの価値は、「ネガティブなモノをポジティブに、そして現状維持でも良いモノを更にポジティブに変革していく」というところにあるのではないかと。そうであれば、人材ビジネスにとらわれず、多様な事業を手掛けた方が、そのミッションを叶えられるよね、となったわけです。

 そこで株式会社セントメディアのほかに事業を展開する企業を複数持つグループ化していこうという動きになりました。そして、「Working(働く)」「Interesting(遊ぶ)」「Learning(学ぶ)」「Life(暮らす)」の事業領域において、期待価値の高いブランディングカンパニーを創出し、各領域においてNo.1の存在になるグループにしようというビジョンが生まれました。


ウィルグループの今後の事業展開についてお聞かせください。
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池田:ウィルグループのビジョンを実現する為には、個性化・専門化した事業会社を設立していき、各事業がそれぞれの分野においてNo.1になっていくことが重要です。

持株会社として重要視していることは、投資機会・新規事業開発の機会を増やすこと、M&Aを通じてシナジーを発揮できる外部企業を巻き込み、成長を早くすることです。それをウィルグループとして先導していければと思っています。

 一方で、各事業会社では事業経営に専念すること。そのようにして役割分担をしています。当社グループのミッション、ビジョンの実現に向けてチャレンジを続けていきます。