独自のビジネスモデルと社内コミュニケーション力が成長の秘訣

創業から「リユース」という一貫した領域で事業をスタート。業界における「かしこい消費の選択」という新しい価値観を牽引し、毎年eコマース市場15%、リユース市場10%の伸びを示している株式会社マーケットエンタープライズ。将来的にはリユースを中心としたコングロマリットグループを形成し、1000億円企業目指す。「Win-Winの関係が築ける商売を展開し、商売を心から楽しむ主体者集団で在り続ける」という一貫した理念のもと、創業から増収増益を続けている代表取締役社長・小林泰士氏の信念とは―

■略歴
1981年、埼玉県川越市出身。大学卒業後、ベンチャー起業に入社。
2003年、学生時代の友人と共に100万円を握りしめて独立起業
オンリー1の市場を創出することを社名にし
2006年、株式会社マーケットエンタープライズ創業
2015年6月、東証マザーズ上場 好きな言葉は「士魂商”彩”」

Q: まず、小林様はどのような学生時代を過ごされましたか。

1981年、埼玉県川越市で生まれました。子どもの頃から仲間や友達と「輪」を作ることが好きで、いつも大勢の友達と遊び、クラスの中心にいるようなタイプでした。

中学生でアメカジを知りファッションに目覚めます。お小遣いの中で少しでもお洒落がしたくて、古着屋やフリーマーケットに通い詰めました。高校に入学してからは、休みの度に原宿や渋谷の洋服屋さんやフリーマーケットでの買い物にアルバイト代を費やしていましたね。

大学入学後、1~2年生では流行を追って忙しく過ごすも、行き当たりばったり的な時間の使い方をしていたと思います。「根拠のない自信はあるものの何事にも本気になれていないことへの焦り」のような感覚が常に奥底にありました。

そんな日々が少しずつ変化してきたのは、同い年の野球選手である松坂大輔氏の活躍です。テレビをつければ彼が活躍している姿が自然と目に留まり、何かに本気になって活躍している同世代の方々を観る度、自分も何かにチャレンジしたい気持ちが徐々に大きくなっていきました。

ある日、雑誌を読んでいる時に「起業家三銃士」の存在を知り、ルーツを調べてみると努力を積み重ねたことが実を結んで花が咲かせていることがわかり、漠然と「自分にもできるのではないかと思ったのです。そこで突然スイッチが切り替わったかのように様々なものを吸収したい欲求が沸いてきて、貪るように本を読み始めました。すっかり起業の世界に魅せられた私は、得た知識を消化して自分のものにすべく様々な職種のアルバイトを経験して「働くとは、経営とは何か」を私なりに学び始めました。

Q: 起業に向けて一念発起されたのですね。何が行動力のベースになりましたか?

「行動しなきゃ始まらない」という意識です。まずは学生ながら事業にチャレンジしてみようということで、バックパックで海外に行き当時流行していたターコイズアクセサリーを仕入れてインターネット上で売ったり、個人宅を訪問して宅配牛乳の契約を取ってくる営業のアルバイトをしたりと、思いつくまま様々なことに挑戦しました。しかし、その時はただ漠然と「起業したい」というビジョンしか抱いておらず、実現できそうなビジネスモデルを形作る域に達することができませんでした。就職しようか起業しようか悩んだ末、まずは新卒で企業に勤めて経験の幅を広げてから起業について具体的に考えるべきなのではないかという結論を出しました。

自分が成長できる機会を得られそうな企業を探し入社を決めたのはベンチャーの投資会社でした。当時は営業職の全盛期で、ノウハウ型というよりは人海戦術で売上を獲得する風潮で、新卒営業マンでも成約が取れる商材が数多くあり様々な経験をさせていただきました。「休んだら時間がもったいない」という気持ちで一心不乱に駆け回りながら、将来の起業に思いを馳せていましたね。

Q: 実際に起業を決意したきっかけは何ですか?

 「Win-Win」なことをやりたいという思いです。提案する商材が、「お客様に先々も喜んでいただけるような多くのメリットがあるもの」だと、私自身のモチベーションが自然と高まり営業成績も良いのですが、売り切り商材のように、「いわばお客様が“置き去り”になるようなもの」だと、営業成績は良かったとしてもモチベーションは下がる一方でした。どうしたら売り手と買い手の双方にとってプラスとなるような仕事ができるのかと悶々としながら営業を続けていました。やがて他企業の営業代行としてより多くの商材に触れることにより、そのジレンマは日に日に強くなっていき、「双方に利益が生まれるような事業を自分でスタートさせよう」と、23歳のときに100万円を握りしめて起業することを決意しました。

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Q: 独立してから会社設立までのエピソードを伺いたいです。

大学の後輩2人を誘って3LDKのマンションを借りて共同で生活しながら、「格安電池ドットコム」というネット通販サイトを立ち上げました。資金も経験も少ない自分たちが起業するための絶対条件は“オンリー1ビジネス”だと考え、使用済みの使い捨てカメラの中に組み込まれているフラッシュ用アルカリ乾電池を写真プリント店から回収し100本単位で販売する事業です。お客様は乾電池を格安で買うことができますし、写真プリント店は廃棄コストを削減でき、私達の仕入れコストはゼロ、つまり利益率100%です。そして、結果として環境への負荷も軽減できるということで、いわば「Win-Win-Win」の関係を見出せたことは本当に嬉しかったですね。徐々に多種多様な製造業者やメーカーからの注文も増え、毎月20万本ほど出荷できるようになりました。

一見順調そうに見えるかもしれませんが、秋葉原などに飛び込み営業をかけて事業を説明して買っていただくことを繰り返し、自宅兼事務所のマンションに帰ると男3人で電池の梱包に明け暮れていました(笑)ちょうどITベンチャー企業が注目されている頃で、焦ることもありましたし悩むこともありましたが、日々業務を見直しながらとにかく目の前の道を信じて進むだけだと地道に働きました。

「格安電池ドットコム」が軌道に乗り始め、次に目を付けたのはフリーマーケット事業です(後述しますが現在は他社に譲渡)。当時は、在庫整理を兼ねてフリーマーケットに出店し「電池の掴み取り」をしていました。その中で、ふと、自分達はもっと良いものが作れるという思いが浮かんだのです。そこで新たな事業「フリーマーケット楽市楽座」を立ち上げて、フリーマーケットの開催業務をスタート始めました。開催するためには出店者と来場者を集めるための準備が必要です。もちろん専門業者に依頼したり人を雇ったりするコストはありませんから、電話番として1人がマンションで待機し、残る2人でひたすらチラシを撒きました。どうにか開催までこぎつけると無情にも雨天で中止になったりと、お手本にできるビジネスがなかったため最初はうまくいかないことも多かったのですが徐々に軌道に乗り始め、開催準備に必要なコストや時間を考えるとどうにか成り立つレベルの「B to C」だった事業が、例えばショッピングモールの集客の一環として駐車場でフリーマーケットを開催するという「B to B」のビジネスモデルを確立できるようになりました。

Q: マーケットエンタープライズを設立される際には、既に2つの事業を確立していたのですね。

そうですね。最初の2年間は個人事業という形式をとり、2つの事業が軌道に乗ったタイミングで弊社を立ち上げました。オンリー1事業を生み出してきた経験が「市場を創出したい」という強い思いとなり、「マーケットエンタープライズ」という社名へと繋がっています。「Win-Winの関係が築ける商売を展開し、商売を心から楽しむ主体者集団で在り続ける」という独立時の決意が、そのまま企業理念となりました。このタイミングでようやく男3人での共同生活を解消して(笑)それぞれが住まいを持ち、新たな事務所で仕事をするようになりました。

この時に考えていたのは、電池のネット販売、フリーマーケットの開催業務に続く、第3の事業の存在です。フリーマーケットが「B to B」ビジネスとなりましたが、まだ規模の小さい企業でしたのでさらなるビジネスの拡大が必要でした。そこで第3の事業を買取専門サイトと定めて、商品カテゴリー毎にサイトを1から増やし、拠点の増設によりエリアを広げることで、現在のネット型総合リユース事業が動き始めたというのが大まかな流れです。

Q: 2013年にフリーマーケット事業を譲渡されていますが、背景をお聞きしてもよろしいでしょうか。

実は、事業撤退した後に譲渡が決まったのです。フリーマーケット事業は開催数が延べ800回を超えていましたが、ネット型リユース事業が順調に伸び続け、収益比率の大半がネット型リユースとなるまでに成長していました。フリーマーケット事業の撤退もやむなしという状態でしたが、私は長らく結論を出せずにいたんですね。「47都道府県でフリマをやる」「東京ドームで日本一大きいフリマをやる」という思いで必死に開催行脚をしてきて、ちょうど36都道府県での開催を達成したタイミングでした。信頼を寄せてくださっていたお客様もいれば、一緒に頑張ってきたメンバーもいて、非常に思い入れが強かったので、「このまま続けてもいいのではないか」とさえ考えていました。

社内のリソースは限りがあります。企業として、伸び盛りであるリユース事業への投資が大きくなるのは当然で、いくら思い入れはあってもフリーマーケット事業の改善に十分な力を注ぐことがかなわないままでした。しかし、決断しなければならない時が訪れました。我々は創業時から「リユースを中心としたコングロマリットグループになりたい」という大きなビジョンを持っています。そのことを冷静に考えてみると、今は伸びる事業に集約するタイミングだとはっきりとした答えが出ました。苦渋の決断でしたが、もっと力を蓄えて可能性を広げてから事業を分散させようと事業の撤退を決めたんです。一般的にはフリマのノウハウを持ったメンバーも一緒に譲渡先へ移るのでしょうが、企業理念である「集団主義」に重きを置き、コングロマリットグループを目指そうと共に走ってきた仲間こそが当社の財産だと考え、譲渡先でのサポートが終わったメンバーは現在、当社の様々な部署で活躍しています。

Q:現在のメイン事業である、ネット型総合リユース事業について詳しくお聞かせください。

 販売店舗を持たずにインターネットを活用した買取販売事業です。現在は買取専門のWebサイトをカテゴリー毎に26サイト運営しており、月間で平均約26000件の買取依頼をいただいています。半分は宅配便で送っていただき、残りの半分が店頭へお持ち込み、あるいは訪問での買取です。これら3つの方法で品物を仕入れ、ネットで販売するというビジネスモデルになっています。

この事業が成功した背景に3つの強みがあると考えています。1つ目は、Webマーケティングをベースに構築した買取サイトを通じて十分な依頼数が確保できているということです。その結果、インターネット経由の総合リユース事業として国内で最多のご依頼をいただけるまでに成長しています。

2つ目は、完全自社開発のITシステムを構築していることです。前述の26の買取サイトから仕入れた商品を一元管理できる仕組みと、1点物の商品を複数のサイトで販売することができる在庫連動の仕組みの構築により、より多くの品物を買い取ることと、より多くのお客様に商品を見ていただくことが可能となりました。

3つ目は、一気通貫のオペレーションシステムです。1.5兆円規模の大きなリユース市場でシェアを5%持っている企業は1社もありません。参入障壁は低いのかもしれませんが、取り扱う商材が多岐に渡るため、例えば取り扱い方法1つ採っても標準化することが非常に難しいのです。そこで、当社では「スタンダードブック」と名づけた、商品のチェック方法やお客様とのコミュニケーションなど一連の業務を累計800ページにまとめメンバー全員で共有しています。

また、オペレーションシステムとしての特徴は、業界初の「事前査定」です。従来のリユース事業は「お店に行くまでいくらになるかわからない」「宅配で送ったけどいくらになるんだろう」と、価格設定に不安を感じるお客様が多くいらっしゃいました。そこでお客様と目線の高さを合わせた「安心」していただけるサービス作りを展開し、品物を実際に確認する前でも、過去の落札データベースなどから価格の算定ができる仕組みを作りました。その他にも「3大保証制度」として、動作の完全保証や修理の延長保証などをしています。これも業界初となる試みですね。今秋には自社のリユースサービス「ReRe(リリ)」をオープンし、さらにお客様に安心してご利用していただけるようなサービスを進化させ続けています。

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Q:大量の商材が集まるかと思いますが、回転率を高めるために工夫されている点はございますか?

「販売店舗を持たない」ことが高い回転率へ繋がっています。従来のリユース業界は店頭でお客様に商品をお見せして販売するスタイルが主流で、在庫回転率は年間4~6回が平均でした。しかし、ネット販売であればその必要がないため、1点しかない商品でも画像をお見せすることでいくつものチャネルで販売できます。その結果、年間12~14回という在庫回転率となっているのです。

そして、「事前査定」も大きな要因です。お客様が事前査定金額に納得した後に正式な買取依頼をしていただき、実際に弊社へ商品が届いたときに「本査定」をして金額をお伝えし、ご納得いただけない場合は当社が送料を負担してお客様に返送する仕組みですが、本査定後に返送することはほとんどありません。お客様にとっての「安心」が、私たちに対しての信頼に繋がっているのだと思います。

リユース業界には、お客様にとってまだまだ不透明な部分が多くあります。それらを透明化し精度の高いサービスを提供することで多くのご依頼をいただき、ITやオペレーションシステムと相重なって回転率が上がっていると考えています。

Q: さまざまな独自のビジネスを展開されていますが、モデル構想のコツはありますか?

小資本と大資本ではうまくいくビジネスモデルが異なります。私たちは小資本でスタートしましたので、「粗利が50%以上ある」「キャッシュフローがいい」「世の中に対してWin-Winである」「ダントツのオンリーワンである」「成長産業である」の5つを最も重要視しました。

個人事業時代の2年間も含めると弊社は売上1億円を突破するまで5年かかっています。試行錯誤を繰り返してきた5年間は遠回りのように感じますが、それが今日の独自ビジネスを生んだと振り返られるようになりました。

 Q: 御社の事業がブレイクスルーした最大の理由は何だと思いますか?

  「IT」と「リアル」を融合させてきたことだと思います。弊社は完全なITだけの企業でもなければ、従来のような店舗を持つスタイルに特化した企業でもありません。双方の長所をしっかりと見据えて、独自システムやサービスを構築しています。

具体的には、まず、多種多様な商材を自分達で仕入れられることです。そのため、Webマーケティングへの注力はもちろん、お客様にとってより身近な存在になるために広告にも十分なコストをかけています。次に、買取できるエリアが広いことですね。弊社は東京・横浜・埼玉・名古屋・大阪・福岡、さらに2015年10月には神戸にもフルフィルメントな機能を持つリユースセンターを新設しています。自社で広域なエリア網を持つことが難しいといわれているリユース業界で、これは大きな強みになっていると思います。例えば、引っ越しをする際も家から近い業者さんにお願いしたいと思うように、リユースの場合でも「家から近いところに依頼したい」という心理になるでしょう。

Webメディアのコンバージョンが上がることや送料が安くすることなどにより、当社のリユースセンターを身近に感じていただけるための施策と、「事前査定」などの独自のサービスにより、お客様に「ここが一番安心だな」と感じていただけていると考えています。

Q: 増収増益が続いていますが、その理由をどのように捉えていますか。

 おかげさまで、創業以来ずっと増収増益を続けています。先ほどお話したように、複合的な要因によるものだと思いますが、1つはマーケット環境が非常に良いことが挙げられます。eコマース市場は年率15%近く、リユース市場も年率8~10%強ずつ伸びています。例えば買い物をする際、インターネット検索し価格順にソートすることを誰もが気軽に行うほどにPCやスマートフォンが日常生活で大きな存在となり、ライフスタイルも大きな変化を遂げ、新しい価値感が生まれてきたのではないでしょうか。用途によっては「機能が同じなら旧モデルでもいい」「安いなら少しくらい傷があってもいい」のような選択肢が生まれた結果、eコマース、リユースの業界が「かしこい消費の選択」として飛躍的に伸びているのです。

もう1つは、メンバーを中心としたソフト面を重視していることでしょうか。ハード面では、買取商材のカテゴリーを増やし、エリアを拡大し、お客様に「安心」してご利用いただけるサービスを展開しました。加えて、標準化の難しい業界にありながら「スタンダードブック」をはじめとする仕組みを構築し、ひとりひとりがオペレーションの精度を上げて、そして経営ビジョンの共有しやすい環境を作って軸がぶれにくい組織を目指すことを、早期から考えていたからかもしれませんね。

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 Q: 「ビジョン経営」を徹底するために行っている施策があれば伺いたいです。

新しいメンバーを採用する際は、事前に「私たちはこういう会社です」と情報をしっかり伝えて相互理解を深めたうえでジョインをしてもらうようにしています。社内での取り組みとしては、私や経営メンバーの考え方やビジョンを伝えるツールとして社内報を4年ほど前から月に1回発行しています。会社の状況や方向性を共有し常に認識することができますし、メンバーが登場する機会を多く設けることで、会社規模が大きくなり社内の機能が分散しても心理的な距離が生まれることなく刺激し合える文化が生まれていると考えています。

また、3ヶ月ごとに全拠点の社員を集めてキックオフイベントを行っています。ベンチャー企業は「風通しの良さ」と「メンバー全員が同じ方向を見据えること」が大事だと思っているので、会社が成長しているフェーズこそ、顔と顔を合わせる機会を積極的に設けています。弊社は東京から福岡まで機能が分散していてそれぞれ業務が異なり、お互いの仕事を客観視したり経営ビジョンに対する基軸を揃え続けたりすることが難しいのです。

そのために全社員を集めているのですが、日々稼働させているB to Cモデルの会社でイベントを開催し続けることはとても大変です。例えば今期の売上予算に対して、1日のイベントでは1日間、1泊2日の場合は2日間、全営業を止め、イベント自体にもそれなりのコストを費やすので、売上だけを捉えたら厳しい面もありますが、それだけの時間とコストをかけてでもメンバー全員が同じ方向を向けるようにしたいんですよね。

Q: 企業文化の浸透のために、経営者として意識されたことはございますか?

弊社はちょうど10期目で、メンバーの平均年齢は28歳、役員の平均年齢も35歳ほどの「若い」会社です。そこで、どのような場面でも積極的に“コミュニケーション”を図り、私たち経営側とメンバーの距離をできる限り狭めるよう努めてきました。今のところはひとりひとりと接することができていますが、メンバーが増えていくと難しくなる時が来るでしょうから、この規模のうちに企業文化を浸透させておきたいんですよね。

例えば前述のキックオフイベント以外に、お揃いのユニフォームやタオルを作ってスポーツイベントを開催したり、今年の元旦には初詣に行ったり、見聞を広げてもらうために社外からゲストをお招きして講演していただく「社長塾」も設けたりしています。これはゴールのないことですからアイディアを出しながら様々な角度からメンバーに刺激を与えて、いつか会社の規模が大きくなった際には今いるメンバーから新しいメンバーへと企業文化を伝えられる企業を目指していきます。

Q: スタートしたばかりのリユースサービス「ReRe」と、将来に向けてのイメージをお聞かせください。

 「マーケットエンタープライズ」の由来でもありますが、新しい市場を創出し続けたいと考えています。2015年9月にスタートさせたリユースサービスのブランドは「for the Real Reuse」を略して「ReRe(リリ)」。ブランドロゴをモチーフとした梱包キットやギフトラッピングを揃え、保証制度も組み込んでいます。価値ある商品を提供しリユースを身近な存在に感じていただけるようなサービスの拡充、そして、ワクワクしながらお買い物をしていただけるようにホスピタリティー面にも厚みを増してまいります。

将来的にはリユースを中心としたコングロマリットグループを形成し、1000億円の大台に乗れるような企業になりたいです。新たなマーケットを創造した会社として1つの道標になれれば、これほど嬉しいことはないでしょう。

Q: ありがとうございました。最後に、経営者をめざす若者に向けてメッセージをお願いいたします。

  マーケットエンタープライズはまだまだ成長過程にあるのでメッセージを送る段階ではないのですが、大学時代に本を読みふけるなかで「起業家」と呼ばれる人達の存在を知ったことが私の生き方を大きく変え、起業の道を選ぶきっかけになりました。ありきたりな表現ですが、楽しいときばかりでなく苦しいときもありました。しかし、いつも前も向いて来られたのは、「根拠がなくとも、自分ならできる」と自分自身をポジティブに信じ続けることと、独立時から共に歩んできた仲間、ビジョンに賛同して入社してくれたメンバーたちの存在です。今思えば、いつも周囲の人に感謝の気持ちを持つことが原動力になってきました。

そして将来に繋がりそうなことをひらめいたら、失敗を恐れずにやってみてください。“新しいこと”とはこれまで誰もし得なかったことなので、お手本もなく自分で考えながら歩む険しい道かもしれません。「急がば回れ」のように、失敗や努力の積み重ねこそが経験となり、自分自身を高めてくれるはずです。