売上対昨年利益189%
法人が運営するメディアから、個人メディアへの変革期を的確にキャッチし、ソーシャルメディアマーケティングの到来を予想していた中村氏。
将来的には、データを活用して人と企業がさらに深くつながる時代を創出するため、次々と新たな時代の波に乗るための仕掛けを創りだす。
■これまでの経緯
中村:大学卒業後に、僕は住友商事に入社しました。ベンチャー企業には興味はありましたが、ベンチャーというものをあまり知りませんでした。商社に就職すれば、早熟出来そうな考えがあったので、住友商事を選びましたね。
その後、ネット業界の可能性に興味を持ち始め、もともと趣味として活動していたゴルフとインターネットという視点から、「ゴルフダイジェスト」という雑誌を制作していた企業にインターネット事業の企画書を持っていったところ、すでに社内でプロジェクトチームが発足していたんですね。それがゴルフダイジェストオンライン参画の経緯です。それで僕は最初の社員になり、会社を作る前の段階から皆と企画していました。その後、Eコマースの本部長になり、上場後に執行役員になりました。
■2005年にアライドアーキテクツを創業。きっかけは?
中村:ゴルフダイジェストオンラインのEコマースに携わる中で、トラフィックの流れに変化が見られました。それまでは法人の運営するニュースサイトや検索エンジン・ポータルサイトなどのメディアからのトラフィックがメインだったのですが、「個人」の運営するブログやSNSからの流入が増えてきたんです。
その影響が数字で表れました。今では当たり前ですが、個人が作っているメディアから流れてきた顧客によってEコマースサイトの売上が上がるようになったんですよ。当時の売上比率の中ではまだ微々たるものでしたが、この流れは時代の変化になると思いましたね。これからは消費者の発信が主流となる時代が訪れると感じました。
個人メディアからのトラフィックで「ものが売れた」というこの変化は、当時の感覚では、非常に小さなファクトで、ビジネスとしては成立しないという意見が一般的なものでした。ただ、僕はこの流れが凄く大きくなると思ったんです。こういうタイミングこそ時代の変化を掴むチャンスだと思いました。世の中が動き出した時は既に遅いと思っています。皆がまだ疑っているタイミングこそベストですね。広告もユーザーのコミュニケーションの間で人々の信頼をベースに情報が流通するソーシャル型になっていくという変化期が来ると当時から考えてきました。変化期こそチャンスがあると思い、当社を創業しました。
■創業から成長まで
中村:「ソーシャルの波がくるだろう」「ソーシャルで何らのビジネスを展開することが出来るはずだ」ということで、色々やっていたのですが、最初はなかなかうまく行きませんでした。もちろん、不安はありましたが、それよりも楽しさが勝っている感じですね。笑
「モニプラ」が出来たのが2008年で、その前はソーシャルメディア関連で色々なことにチャレンジしていました。3年間ほど様々な事業を立ち上げていましたね。
例えば、ブロガーのWEBページをユーザーがデザインするというマーケットプレイスを創りました。今で言えばクラウドワーキングのようなサービスです。しかし、これは市場がまだ成熟していない状況で、物凄く大変でした。
それ以外にもひらすらに市場調査、事業企画、実行を繰り返すうちに、この事業はここまで行けるんじゃないかというマーケット感覚がある程度掴めてきたんですね。それと、自分たちが耐えられる期間、将来的なリスク・リターンのバランスを見ます。そこで撤退するかどうかを判断していました。
その繰り返しの中で「モニプラ」が出来ました。ブロガーと企業、企業と人がダイレクトに繋がれるサービスです。当時はブログのみが個人IDとして使える時代だったんですね。mixiはクローズドだったため、ユーザーのアカウントと法人を結びつけることは当時出来ませんでした。企業が独自のファンサイトを作り、ブロガーと繋がって交流を重ねるというのがモニプラの基本構造でした。加えてFacebookが国内で流行り始めたタイミングで2011年にFacebookに対応。その後にmixi、twitterと続きます。このようにモニプラは次々と色々なソーシャルアカウントで企業と直接対話できるような状況を作ってきました。
■急成長されている所で、施策を打たれたりしたことは?
中村:ベンチャーは波が来る前に仕込んで、波待ちし、波が来たときに、誰よりも早く波に乗ることが重要です。という意味でいくと、僕等はソーシャルメディアを使ったマーケティングの仕組みを2005年頃から仕込んでいました。将来、多くの会社が使ってくれる日がくるだろうと想像し、いつか波が来るはずだと波待ちしながら耐えていました。そのときにFacebookというビッグウェーブが来ました。Facebook創業者の映画が公開された2010年から2011年にかけて急激に日本でもFacebookユーザーが増えだしました。それまでのSNSユーザーとFacebookユーザーの違うところは、実名登録を基本としていることです。企業も従来のマス型のメディアからソーシャルメディアへと時代が変化してきたことにデータでも感覚的にも気づき始めました。そうなればマーケターはソーシャルメディアを無視出来なくなる。そこでソーシャルマーケティングをどうやろうかと話になったときに、その波に乗っていた僕らに仕事が集まってきました。ソーシャルメディアマーケティングの企画や運営には人が必要ですが、そのノウハウを今ちょうど構築しているというのが世間一般のフェーズだと思います。僕らは2012年で1万件以上のキャンペーンを支援しているので、ノウハウとデータが溜まってきています。それをベースに考えて提案でき、尚且つそれを経験しているメンバーが居ます。大きなアドバンテージだと考えています。
■新たな波が来た時点ですでにナレッジが1万件あるというのは強い
ブームが来たからやるというのはよくありますが、僕たちはどういう付加価値を出したいのか、その本質的な部分を大事にしています。「こういう時代になるはずだ、だからこれをやろう」と。それに対して自分たちが耐えられるか、このマーケットは信じられるのかなど本質論をまず大切にし、その結果として当たりを掴むと考えています。自分が信じられる未来に対してどれだけ愚直に努力できるかが大事です。自分が信じられないと、クライアントにもユーザーにも見抜かれてしまいますからね。
■ソーシャルメディアマーケティングの領域はまだまだ伸びる
中村:マーケティングはこれからデータの時代に入ってきます。マーケティングの本質は、その人のことを理解すること。例えば、自分をよく理解する友達と一緒にいる時間は心地良いですよね。だからこそ信頼するし、より仲良くなっていきます。これまでのマーケティングは対象となる相手が分からなかったので、ひたすらボールを投げ続けていく状態でした。だから興味のない広告が出てくることも多かったんですね。ソーシャルメディアマーケティングでは、その人をしっかり理解した上でその人に合った広告・商品を提案していくというような効率が上がっていきます。「個々人の特性を企業が知る。」これは物理的に出来ないので、データで勝負することになる。質と量において、いかに潜在顧客及び顧客のことをデータで理解することが出来るかという点が肝となってきます。その中でソーシャルメディアは最もデータが溜まりやすい分野です。様々な情報がある中で、ソーシャルアカウントにログインしたままサービスを使っていることも多く、そこから出てくるデータの量は凄い量になります。こういったデータがマーケティング活動の中で不可欠な時代になります。将来的にはテレビも新聞も今後はソーシャルアカウントにログインした状態のまま見ることになり、個別にカスタマイズされた情報が配信されるようになっていくのではと感じています。
僕等は特にソーシャルメディアを活用したキャンペーンツールとして国内でも最大級の割合で使われています。我々のシステムが最も使いやすくて、コストも安く、効果が良いということで多くの会社で採用してもらっています。企業とユーザーの関係構築の支援をするというところで下地をつくってきました。今は2500社のクライアントのソーシャルメディアマーケティングのサポートをしています。更に、130万人ものユーザーがそこに参加してきてくれたという状態になっています。これは始まりに過ぎず、これから最終形のゴールに向けて、様々なユーザーとコミュニケーションを取りながらデータを蓄積して解析していきます。その中の最もキーとなるソーシャルメディアのユーザーとの連携を僕等はサポートしていくということになります。
■今後はどのように展開していくか
中村:会社は事業を通じて世の中を良くするというのがMISSIONだと思っています。僕等の技術・ノウハウを使って成せることは多くあります。ただし、「ソーシャルメディアを使ったマーケティングで人と企業を繋げよう」というのが僕等の会社のMISSIONで、まだ始まったばかりです。より多くの人と企業がソーシャルメディアを通じて繋がっていき、繋がった結果からその人のことを企業が理解し、より心地よい情報提供をするという第一歩が始まったところです。まずここを徹底的にやりたいです。何故これをやっているかというと、今まで人と企業は繋がることが出来なかったからですね。
今はソーシャルメディアの台頭により人と繋がれるようになり、企業にとっては商品開発のリスクが少なくなりました。商品の成功確率が上がり、更に直接繋がったユーザーが伝道師のように広めてくれます。これによって企業は利益率が上がります。その結果、企業は次の商品開発の余力が出たり、値下げが可能になります。このことは、結果的に消費者にとっても大きなメリットとなるはずです。良い物を安く手に入れることができ、何かあれば企業に直接連絡すれば良いという世の中になっていくからです。
■海外が面白い
マクロ的に考えると、やはりアジアが面白いですね。今後アジアが成長し、2050年には世界の過半のGDPを占めるようになるという予測が立っています。ここに日本企業は進出していくんですね。Facebookは世界で11億人、アジアでも多くのユーザーが居ます。これから日系企業が海外で色々なものをマーケティングしに行くという時に、普及率や若者へのアクセスから考えると、確実にソーシャルメディアマーケティングを行うはずです。そのときに僕等が蓄積してきたデータをベースに、アジアその他の国でも「彼らに相談すればあらゆることがわかるね」ということが実現出来ると考えています。
■どのような人材に門戸を叩いて欲しいか新たな産業を創るということに対して、興味がある人ですね。出来上がっていることではなくて、出来上がっていないからこそ沢山の経験ができます。黎明期だからこそ、出来上がっていくに連れて業界の重鎮になれます。時代の変化のタイミングを捉えて、思いっきりチャレンジしてみたいという人と一緒に働きたいです。アライドアーキテクツという船に乗りにくるのではなく、自分で創ってやるよという人。自分の頭で考える力がある人を歓迎しています。
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