売上対昨年169% 経常対昨年利益287% 当期対昨年純利益153%
「世界が変わる新しい価値」を築く
新星グローバル・リーダーの生きる道
須田将啓は、世界初のWEBサービスを提案し続けている企業、株式会社エニグモの代表取締役だ。誰も思いつかなかった新しいものを、見たことのない新しいスタイルで具現化するベンチャーきっての能力者である。150%オーバーで急成長をし続けるまっすぐさで、シーンに次々と旋風を巻き起こす。そんな須田が、最も重要視している価値観とはなんなのか―
■多忙の合間を縫い、過酷なトライアスロンに多数出場しているようですが?
須田:開催2か月前にホノルルのトライアスロンに誘われクリアしたのをきっかけに、アイアンマンというフルトライアスロンに出場しました。それもクリアしたので、1週間で250キロを走るサハラマラソンに2012年5月に参加してきました。特にアスリートスピリッツがある訳ではないんですが、飲み会の時に勢いでOKしちゃったんで… 出るしかないなと(笑)
記録が目的ではなく、完走が目標だったので、ゴールに最低限必要なすれすれのラインでしか準備はしません。サハラの時は帰国して二日後が上場決議採択日だったので、もしレースで帰国できないようなトラブルがあれば大変なことになると思い短期間でも徹底的に準備しましたね。
20キロの米と鉄アレイをリュックに入れて通勤やランニングを行い3ヶ月で700kmは走りました… 準備が功を奏してハプニングもなく、最終的に順調にゴールしましたが、途中3日目で突然血尿が!それからは、道中の厳しさよりも血尿による不安感が未知すぎて、ハラハラし通しでしたね(笑)
こういったレースを経験したからこそ改めて思うのは、どんなシチュエーションでも宣言して動けばゴールが得られるということ。ベンチャーにも通ずるものがありますね。やる前はとてつもなく困難なことに見えても、いざ歩みだすとガムシャラに進み、最終的には達成してしまう。たった一歩ですがまずは踏み出すことがカギなのでしょう。
なかなか一歩が出ない人は、慎重さ、ゴール設定の高さ、プライドなどが原因で自分で難しくしているだけかもしれません。レースに例えるなら10時間切りたいとか、十分に練習してからじゃないと絶対出たくないとか、予めハードルを高く設定してしまう人がいる。でも「レースに出る事」「砂漠で完走する事」だけを目標にすれば、必要な準備は格段に減らすことができる。 あ、でもサハラは吐きそうになるし、決して簡単なことではなく、2度と出ないと誓いましたけど(笑)だけどいずれ辛さは消え、振り返ると楽しいとさえ思える。そうやって自分を信じることが出来る手応えは、一歩踏み出したからこそ味わえるのかな、と思います。
そういう意味でも、自分は何事も踏み出すのに躊躇しないし、気にならないタイプです。スタートダッシュの良さと諦めない精神で、起業時も恐れなく飛び出せましたね。
■起業から様々な問題解決を経て、そこを支える自分のマインドとは?
須田:特に自分の信条に従うという感覚はありませんが、ブレイクスルーは必ずあるという経験則は、起業時からの支えですね。エニグモ自体やBUYMAの準備期間にあった多数のトラブルにおいても、いずれ何とかなるとか、考えれば必ず脱するとか、いたる部分で突破口があると信じていました。だから精神的な追い込みはなかったですね。
そして、人に支えられて救われてきたことが多かった。人との繋がりは会社のカルチャーとして、創業当時から重要視しています。例えば関係会社や発注先へも、業務を受発注する関係に留まらず、チームを同じくするパートナーだと捉えています。お客様も社員も同じように大切ですし、ベンチャーキャピタルに携わる場合も必ず担当者の方の人柄込みで判断してきました。
様々な方に出会う中で、合う合わないの基準と言えば、ギブ&テイクのバランスが大切でしょうか。テイクばかりの人や、嘘っぽい人は苦手です。シチュエーションと相手の立場にもよるのでそれぞれ分けて考えますが、人との絆が大事だからこそ、本音の対話や、飾らない感情のままコミュニケーションしたい。存在や人間性にリアリティの無い人とはハッピーな関係を築けなくなりがちなので、どうしても疎遠になります。
そうやって人を大切にすることをモットーにやってきた中で、上場日にちょっとしたエピソードがありまして。今までお世話になった人たちへの感謝を込めて、3本のネクタイを締めたんです。
1本目は。起業初期から応援して下さっている友人でもあり株主でもある方に「上場日が来たら着けてほしい」と言われて頂いたもの。株主の皆様への御礼も同時に込めています。
2本目は、創業5周年記念に社員から貰った経営理念を裏地にしたオリジナルネクタイ。昔から上場を目指して一丸となってやってきたので、ありがとうの気持ちを表したくて。自分の勝手ですが、当時の熱気や思いを汲みとって、過去に別れた社員たちへの恩義も含まれています。
3本目は、父親のお下がり。その3本に今までお世話になったことへの感謝を込めたつもりです。が、全部巻いたら想像以上に太すぎて、奇抜なファッションと勘違いされて、誰からも突っ込みにくい空気感をまとってしまいました(笑)
■人への思いや物事の本質を見極める事以外に、自身の価値観とは?
須田:“なんか変だぞ”っていう違和感は放置したままにしないようにしています。判断の場で感じた些細なアンバランスさや、すわりの悪さを無視せず、原因を徹底的に考え抜いて検証します。そこまで検討し尽くせば、間違っていたことがあれば解決できますし、釈然としない気持ちがなくなればそのまま自信になる。100%正しくて、嘘偽りない判断なのかどうか、リアルな勘を大事にしています。決断はそれからです。
ちょっとした違和感がぽんと出た、と言うのは何かのアラートなんです。原因を探り、問題に対して早期対策がリスクを減らす最善策であり、時間も人も無駄にしない。間違った決断をしないために、どんなアラートも敏感にキャッチする、ことが大事ですね。
トヨタ自動車の例ですが、“小異常”というトヨタウェイがあります。品質でも納期でも余裕を持ちすぎるとゆるみに隠れて異常を見逃しやすいが、異常を感知するにはあえて余裕を持たせないことでトラブルが具現化しやすく、結果、問題解決しやすい、という考え方で、ぼくのアラート思考もそれに近いなと思っています。
■苦しい時期を乗り越え、著しく成長した秘訣とはなんでしょう
須田:複数の事業を行ってましたが、創業事業であるBUYMAに一本化したということに尽きます。
会社を立ち上げた直後は、BUYMAは利益率の上昇や回収タームが中期的なので、短期的に利益を出していくために、ブログを活用した口コミ広告事業を立ち上げ企業成長を加速させました。その後リーマンショックによる広告市場の縮小もあり、2010年のタイミングで他事業を順次撤退しBUYMAに経営資源を集中させました。
BUYMAはサービスインよりグローバルサービスに取り組んでいますが、スタートアップ時は現在ほどネットが行き渡っていなかったこともあり、バイヤーや関係者のネットワークはほとんどアナログでした。海外の方にアプローチする術がなかったので、知り合いを紹介してもらったり、現地の日本人が行くようなショップでチラシを設置して貰ったり、地道にいろいろやりました。
正直、成長がなかなか緩やかだったので、本当に大丈夫か?と危ぶむ声もありましたが、近い将来大きな収益を生む事業に育つという確信はあったので、心配していませんでしたね。失敗しても気にしないでやれるリソースや社風も心強い味方でした。
苦労したことと言えば、切り替えタイミングでの人事です。惜しみながら別れた人もいましたが、今いる社員は何をやるかという事業面や職務ではなく、エニグモやそこで働く“仲間”にコミットを感じてくれていると思います。僕としても、会社が伸びる確信があったのでトータルで考えて踏み切りました。
決断した1つのポイントは、広告収入がなくても赤字にならないレベルで運営を保てるかどうかです。後は残ったメンバーの情熱やスキルがあれば、BUYMAのどんな業務にも生かせると思った。
先が見えない事業で働いてもらうより、成果が出しやすいBUYMAに全社員が集中したほうが精神面でも報酬面でも報いることができるだろうと判断しました。
■今後のビジョンを教えてください。
須田:今年は海外展開元年にすべく、勝負だと思っています。昨年12月にアメリカの会社に出資し、事業のグローバル展開を模索中です。そのためマーケティング思考があり、地頭で考えることが出来る、実行力のある人材が欲しいです。語学が出来てファッションに精通しているとベストです。
BUYMA自体は品揃えを整え、バイヤーサポートを充実させたり、サイトのユーザビリティを向上させながら着実に歩んでいくつもりです。将来的には、世界中の人をターゲットにしたグローバルカンパニーにしたいですね。人々のライフスタイルがより良くなるようなインパクトあるサービスを、次々に提供する企業にしたい。
企業は人格だと思うので… 納得できて絶対に信じられるものだけを選びとり、その価値観とずれない思考でやっていきたいんです。良いと思わないと行動に移したくもないので、成功の確率が例え低くても、自分の感覚と100%違和感のない経営を行いたいと思います。
150%社長.comでは、急成長企業に飛び込んで働きたいという方を応援しております。以下の「直談判する」をクリックして、自分を売り込むことが出来ます。「我こそは!」という読者の方は、ぜひ直談判を申し込んでみてください。
・直談判のメールは、インタビュー対象企業に直接送られますので、事務局へのご要望等はご遠慮ください。
・直談判は返信がお約束されているものではありませんのでご了承ください。
・直談判は、「急成長企業」と「働きたい人」を結びつけるものです。それ以外の営業メールなどはご遠慮ください。明らかに趣意と異なる場合は、厳正な対処を行わせていただきます。