「好きな事の延長線上にCOOがある」 株式会社Ptmind 最高執行責任者 安藤高志

interview00901株式会社Ptmind
最高執行責任者 安藤高志

1985年12月6日生まれ
群馬県出身
立教大学理学部物理学科卒業後、OKWaveに入社。在職中に現CEOらと出会い2011年に株式会社Ptmind設立メンバーに参画、COOに就任。日本創生ビレッジビジネスコンテストEgg Gold賞受賞。

 


COOまでの道のり

 そもそも、データというものが好きな人間なんです。数値や数などを用い数式を立て、ロジカル・シンキングしつつ自然現象をまとめあげる作業が得意。その収集したものを、人々の結びつきやサービスの提供に生かしたいという想いがありました。

 立教大学在学中に、量子力学コンピュータシミュレーション教材を大学生などに向けJava言語で開発するという研究をしていましたが、データをマッチングさせる対象として教育などのエデュケーションサービスに興味を持っていました。教育は地域や国でスピードに差があり、知識のギャップもある為、教える側と教わりたい側がきちんとフィックスすればよいなと。そこでナレッジコミュニティを提供するOKWaveへ入社。法人向けのソリューション営業を2年ほど担当していたんです。やがて日本在住中国人の方に向けたプロジェクトに関わる事となり、そこで現CEOの鄭遠やメンバー達とリンク。自分が世界のマーケットに向けてアクションを待っていたタイミングと、CEOの起業タイミングが重なり、日本と中国を介在するグローバルビジネスを手掛けるべく立ち上げとなりました。信頼できるチームで船を漕ぎ出すチャンスを最大限生かしたかったし、迷いや怖さはありませんでしたね。

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シンク・グローバル、アクト・ローカル

 Pt mindは、<「革新性、機能性、デザイン性、安定性」を徹底的に追求した上で、プラチナの最高の輝きのように最高のサービスを提供>するという意味を持つWebサービス企業です。スマホ、PC、タブレット全デバイスに対応したグローバルなサイト解析サービス“Pt engine”をメイン商材としています。例えば、それぞれのユーザーが閲覧中か、放置状態か、どこをタッチしたか、どうスクロールしたかなどの具体的なアクションとサイト状況を総合的に資料化し、ユーザビリティの高い導線を構築できる仕組みです。

 かつ、受け取り手ありきで、人をリンクさせることをコンセプトに掲げています。というのも、ビジネスの根底に「人間を理解したい」という気持ちがあるからです。お互いに通じ合い、納得を得て初めて情報提供・サービス・教育が叶うのであれば、お客様にとって最も重要である“役立つデータ”を提供できるか否かが弊社の最大の命題。お客様のワクワク感を高め、プラチナのような輝きが溢れるビジネスを共作する事を目標にしています。 

 現在の売上は、展開を含め日本に比重があります。中国はマーケットの成熟を見つつ徐々に展開しておりますがすでに大手の企業様のサービス利用実績があります。参考例ですが、前身組織が2007年にリリースした無料解析ツールは、中国国内で有用としてシェアの15%ほどを獲得しました。

 また開発セクションには全員中国人を採用しています。彼らは企業意識が高く、挑戦を恐れないがゆえに優秀な人材が多い。アナリティクスチームやロジック・分散処理開発メンバーはそれぞれプロフェッショナル集団です。素晴らしい精鋭達ですが、国際的ビジネスでは対面して意識合わせをするチャンスが少ないだけに、中心メンバーが定期的に訪中する機会で会議を設けています。毎回、とても刺激を貰えますよ。

 雇用スタイルも日本と遜色ない報酬システムなので、エンジニアに対するサラリーはベンチャー含む他企業よりかなり高給かと思います。ほか、弊社は働き方の自由も掲げており、モチベーションキープや業務の進捗も基本的には個人マターですが、組織構成の仕方、働き方は両国で違う為、通常はリモートを用いた密なコミュニケーションを心がけています。

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 日々の取り組みとしては、基本をスケジューリングしつつ、日々、お客様からの機能追加、修正対応などのフィードバックをスピーディに反映しています。今年はプロダクツがリニューアルする勝負の年なので、営業を担当する人材確保や販路開拓にも力を入れてゆきたいですね。 

 全体像としては日中あわせて30名ほどが在籍中ですが、こういった個性的なチームを一つにするには、理念を明らかにしメンバーに浸透させる事がベクトルを整えるのに必要です。特に国を跨げば企業理念が唯一のルールとなる為、社内外のブランディングには具体化が必要不可欠。言語と思考法が違う2つの国を相手取る以上、根本的な理念そのものからお互いの感覚合わせが大切なんです。我々でいうと、自国の文化風習と海外との差を知り、相手を思いやって意思疎通を図り行動する 「シンク・グローバル、アクト・ローカル」をビジネス哲学の基本形にしています。


ただの肩書きに、こだわりはありません

 社風として、CEOだろうがCOOだろうが、肩書きへの依存がない会社です。とは言え、海外展開をしている都合上アルファベットのポストは必要なのですが、あくまで外向きのものですね。その為だけに、役に近い人がタイトルを持っている感覚なので…。得意不得意による、という部分だけで決めています(笑)

 CEOの鄭遠は統括・開発拠点でのリクルーティング・組織構築を受け持ち、CMOの小原は事業戦略・ビジネスロジックを担当しています。CCOの惠爽はコミュニケーションオフィサーという立ち位置。日本と中国では、ビジネスマナーやライフスタイル、価値観などが大きく違うので、大小の壁や思い違いを解消する為に必要な橋渡し役です。自分は、スポークスや顧客対面からのフィードバック・集客・マーケティングを管轄しています。

 こういった具合に、好きな事の延長線上にCOOがあるので仕事の苦労はないのですが、スタートアップ時には、ルール作りの重要性を改めて思い知りました。創成期というものは無人島での自力脱出と同じで、生存確率が高い歩み方、ツールの調達法、狩りの担当、など適材適所を生かす哲学を持って決心する連続作業のとき。確実に社運を左右するので、考えに考え、自分に問いかけ続け、ゆるがせに出来ない重みを感じていましたね。

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COOを目指す方へ

 まずすべきは、COOを目標にしない事です。目標は肩書ではなく、したい事で成功する未来図ですよね。自分の強みを武器に最終的なゴールを見据え、切磋琢磨した後にたまたまついてくるものがタイトルなんです。会社のコアメンバーは、名刺より経営の勉強より、先に役目ありきだと思っています。
 
 また、COOの業務はこうあるべき、と決め打ちせず、必要なら一人でも実施していく心がけが大切です。全体の不足箇所を埋め、率先して行い、執行できる段階にピックアップすることは、”最高執行責任者”という権利を得た者にしか出来ない務めだと感じています。