「最終ゴールはチームで勝つこと」 株式会社ショーケース・ティービー 取締役COO 永田豊志

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株式会社ショーケース・ティービー
取締役COO 永田豊志

1966年1月19日生まれ
福岡県出身
1988年九州大学卒業後、株式会社リクルートに就職。その後、コンピュータ系雑誌の編集長を経て、CGキャラクターの版権管理ビジネス会社を設立。2005年合併し、株式会社ショーケース・ティービー取締役COOに就任。  


COOまでの道のり

 1988年から約9年間、リクルートに在籍。初めの2年は営業、そのあとは新規事業開発に従事しました。新規事業開発室では、様々なメディアや新会社立ち上げを行いました。そこで立ち上げた新会社に、メディアファクトリーという会社があります。そこでは、自分自身で営業・広告宣伝・編集企画まで行いました。最後は編集部門の責任者までやっていました。
 
 その頃、同じリクルート出身者が出版社を立ち上げるという話があり、コンピューター関連の情報誌で取締役編集局長として入社しました。当時から、ある分野に特化して自分の強みをつけたいと思っていました。
 
 その後、自身でスマートイメージを設立。初めは私一人と派遣やアルバイトという感じでした。この頃、まだユーチューブもなく、ウェブでの映像プロモーションもなければ、ウェブで動画を流す企業も少ない状態。
 
 しかし、私は映像というのは、企業のプロモーションにとって必要不可欠と感じていました。しかも、前職で長らくコンピューターの現場にいたので、ITサービスは、次々にデジタル化され、コストが安くなることを知っていました。ウェブ動画プロモーションが普及するのも時間の問題だなぁ…と思っていました。
 
 
 この考え方に共感していたのが、リクルートの同期入社の仲間だった森雅弘(現ショーケースTV代表取締役CEO)でした。お互いに「これからは映像がくるよね」と話していました。森は当時、別会社でしたが、そこでも企業の販売促進や企業企画制作を行っており、共同で同じクライアントに提案することもありました。
 
 同じ思いを抱えたもの同士の共通点もいくつかありました。まずリクルート出身ということ、そしてお互いプレーヤーとしてはかなり器用なタイプであったということ。一方で「なかなか組織的な動きにならない」という同じ壁にもぶつかっていました。たくさんのアシスタントを雇って、自分の効率性を極限まで高めることはできても、それ以上を求めた時に、組織にしないとと強く感じました。組織にするにはどうしたらいいのか…?そこで出た答えは、中長期的なビジョンと分かりやすいゴールが必要だということでした。そして、現代表・森と、「同じ中間目標に向かってお互い一緒にやりましょう」と、株式会社ショーケースTVを設立しました。

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 実は2人代表だった

 設立当時、実は2人代表でした。森は代表取締役CEO、私は代表取締役COO。中期的なIPOや会社の成長戦略を掲げ、受託制作業務から自社サービスを作り始めました。まず作ったのが、企業のウェブサイトのおもてなし具合を高めるというコンセプトの「ナビキャスト」。森と私はもともと営業兼制作ディレクターとしてやっていたのですが、いきなり開発を始めたものですから、売上は伸びず、販管費が増え、収益が大幅に悪くなりました。でも、ベンチャーというのは成長ラインで沈んで、商品の普及と共に利益率が高くなるものという考えだったので、あまり問題には考えませんでした。
 
 ですが、資金繰りを行うにあたり、二人代表という事実は、相手に「対立」や「仲間割れ」リスクがあるというイメージを持たせてしまうと感じ、代表権を取り下げてもらうことを自分から提案しました。そして、現在のような取締役COOとなったのです。役職的に代表権を取りましたが、これにより困ったことは特にありません。重要なことは役員全員が話し合って決めますし、社内的にも与党・野党のような見え方はなくなり、内部的にも外部的にも結束力が見せられるようになったと感じています。

 

 

誰がゴールを決めても良い!経営チーム

 私も初めは、どこまでがCOOの範囲なのかと考えました。CFOやCTOはカテゴリー的に専門分野が決まっているのに対し、CEOとCOOはとても役割分担が曖昧です。尚且つCOOという言葉の意味だけを考えると、戦略を作って、現場に落とすことがCOOなのかといったらそうではありません。結論からいうと、「C××」というのがついているだけで、結局は「経営チーム」ということです。僕はそのメンバーです。
 
 サッカーで例えるなら、中盤の人が上がってきてはいけないというルールはありません。ゴール前を守るべき人が時にシュートを決めることもあるわけで、これをルール違反という人はいません。それは、最終的なチーム目標が「勝つこと」だからです。だから、その時々で、一番威力を発揮出来る人がゴールを決めるということが大切だと思っています。これに気付いてからは、COOの範囲は考えなくなりました。

 COOを目指す方へ

 どんなに小規模でも、スタートアップでも構わないので、まずは経営を体感して欲しいです。全ての物事を判断するという立場に立つということが出来るようになれば、勉強にもなり、絶対に役立ちます。規模が大きくなってもそれは同じことです。小規模の会社、もしくは自分でやる事業でもいいのでトライすることは大事です。
 
 私は昔から起業は決めていました。そして、起業家というのは、自分に合っていると思っています。ルールを作る方がやりがいを感じます。また、規模の違いに関係なく、経営の視点に立っていると、同じ経営の視点に立っている人と話が出来ます。
 
 COOの役割の話に戻りますが、COOという立場としては、どのポジションもやれないといけません。実際にやる・やらないは別としても、どのポジションになっても良いような心構えでいないといけないと思っています。自分の得意・不得意は関係なく、現在各ポジションがどのような状況なのかという目配りをキチンとすることが必要であり、必要に応じて采配をするということが求められます。スポーツの世界では、決してキャプテンや監督が一番上手いプレーヤーとは限りません。しかし、すぐれたキャプテンや監督になり得ます。それがCOOの目指すところではないでしょうか。