Q:お2人がインテリジェンスに入社されるまでのご経歴をお聞かせください。
大谷
私は山口県下関市出身で、プラモデル好きな父の影響で幼少期から機械の仕組みなどに興味がありました。中学生の頃は目立つのが好きで、ロックバンドを組んだり、生徒会長として校則を改定したりと、非常に活発な子どもでしたね。高校に入ってからは一層バンド活動に夢中になり、プロをめざして東京の大学に進みました。
そして3年生になり、就活期を迎えます。当時は新卒でないと就職できない時代でしたから、バンドを続けられるように時間の融通がきく企業を50社ほど受け、受託開発のSEになったのです。
バンドは在学中に解散してしまったのですが、仕事を通してプログラミングの面白さを知り、趣味としてもコードを書くようになりました。そこで作ったのが、当時流行っていたmixi関連のツールです。ターゲティングをして足あとを付けられるツールなどを公開したところ、企業の方々から「マーケティングに使いたい」と問い合わせを受けるようになりました。仕事では言われたものを作るだけですから、自分が作りたいものを作り、それを人に使ってもらえることの喜びは非常に大きかったですね。
その後、個人的なシステム開発を通してリクルートの社員の方と知り合い、一緒に事業を立ち上げようという話になりました。最終的にその事業はリクルートグループ内で立ち上げることになり、株式会社リクルートエージェントに転職して事業企画などを担当しました。事業は軌道に乗ったのですが、やはりものづくりに携わりたいという思いが強く、株式会社サイバーエージェントに飛び込んでインターネット広告事業本部のシステムチームを立ち上げることにしたのです。しかしその矢先にリーマンショックが起き、採用ができなくなってしまったので、最初の2年ほどはほぼ1人で開発をしていました。
サイバーエージェントでの仕事は非常に有意義なものでしたが、その一方で、エンジニアとしての未熟さを痛感しました。特に子会社の技術責任者に抜擢していただいてからは、他社のCTOクラスの人達と話をする機会も増え、自分の技術力の低さがコンプレックスになっていきました。環境には恵まれていたこともあり、このままでは今の実力に甘んじてしまうと考え、新しい環境で一から勉強し直すことにしたのです。そこでソーシャルゲーム開発という新しい領域にチャレンジする中で、インテリジェンスに出会いました。
入社の決め手の1つは、人材ビジネスというジャンルです。まだまだテクノロジーを活用する余地は大きいですし、インテリジェンスがテクノロジーという武器を持てばすごい組織になるのではないかと思いました。
もう1つの理由は、当時のインテリジェンスの事業部に開発チームがなかったことです。これまでの経験を活かしてチームの立ち上げに貢献できればと思い、インテリジェンスに入社することを決めました。
清田
私は埼玉県出身で、幼少期はよく物を壊す子どもでした(笑)物が動く仕組みが気になり、時計や姉のおもちゃを分解しては怒られていたようです。やがて中学生になり、友達の家で初めてパソコンに触れました。私はファミコン世代なのですが、パソコンでもゲームができることを知り感動しましたね。自然にパソコンの仕組みに興味を持ち、将来はコンピューター専門の学校に進もうと決めました。
そして大学の情報学部に入り、自作マシンに夢中になりました。当時はインストールが大変難しかったので、バイト代をつぎ込んでマシンを組み立てて、Linuxをインストールして壊すということを繰り返していましたね(笑)研究室でネットワークの研究をしながら個人的な趣味としてもプログラミングを始め、エンジニアとしてのベースを築いていきました。
もちろん就活でも、迷わずシステム系の会社を選びました。私は企業研究を一切しないタイプだったので、五十音順で受けて最初に内定をいただいた会社に入ったのですが(笑)その会社は基幹系からWebサービス系まで手がけているSI会社で、実に幅広い経験ができました。
そちらに入社して最初の5年ほどは大手通信会社の基幹系システム開発を担当し、その後はWebサービス系の開発に携わりました。その次はソーシャルゲーム開発を手がけ、最初はサーバーサイドだったのですが人手が足りずアプリ制作も行いました。最終的にはiPhoneアプリ用のライブラリ構築、Windowsアプリの制作なども手がけ、何屋さんなのかわからない状態になっていましたね(笑)PG、SE、リーダー、PMと一通りの経験をし、IT業界のことはある程度把握できました。
しかし、徐々に受託会社の限界を感じるようになりました。2010年頃のビッグデータブームを受けて大量データの分析に興味を持ったのですが、いくら勉強してもそれを実践する機会は訪れません。2014年頃にはビッグデータを一から構築することも少なくなってきたので、「今を逃すともうチャンスがない」と思い転職活動を始めました。そんな時に大谷に出会い、システムチームの立ち上げの話を聞いてインテリジェンスに入社したのです。
Q:どのような経緯でシステムチームの立ち上げが決まったのでしょうか。
大谷
2013年に社内で新規Webサービス「dots.」が立ち上がりました。同じ頃にマーケティング部門でも「テクノロジーを活用したPDCAサイクルの高速化」などの話があがっており、社内でシステムチームを立ち上げてスピード感を持って開発していく方向になったと聞いています。
当時のマーケティング部門は様々な問題を抱えていました。業務がアナログで非効率だったり、事業KPIの把握に時間がかかってPDCAサイクルが遅かったり、必要な数値が他部門に依頼しないと見られなかったり。システム化すれば改善できそうなものでも、近くにエンジニアがいないので気軽に相談できない状態でした。
しかし別の見方をすると、インテリジェンスは営業力や人間力で大きくなれた組織だということです。そこにテクノロジーの力をプラスすれば、会社はより成長できると考えられます。今後は人材紹介業もグローバル化が進みますし、テクノロジーを活かした人材会社も増えてきています。そこに対抗できるような組織を作らなくては、5年後の業界で勝つことができません。そこで、まずはマーケティング部門や新規事業のシステムチームを立ち上げることになりました。
はじめは環境やルールを作るところからはじめて、できるところからマーケティング部門の効率化を進めました。最初は自分1人でしたが、役員や部門長も力を貸してくださり、徐々にメンバーも増えていきました。清田を迎えてからはチームとして業務改善やマーケティングツール開発に取り組んでおり、また新規事業として新しいWebサービス開発にも着手しています。
Q:業務のIT化に関して、具体的にはどのような取り組みをされていますか?
清田
まずは「見える化」です。もともとカウンセリングに来てくださる方や「DODA」を通して応募されている方の人数は集計していたのですが、手作業だったので時間がかかり、施策もなかなか打てない状態でした。現在はそれらが即時にわかり、さらにカウンセリング後の経過もすべてデータ化できるシステムを作っています。ITの力によって「見える化」が進めば、業務効率は飛躍的に上がるでしょう。
ITの導入は、社内だけでなくユーザーにもメリットをもたらします。企業数は数限りなくあり、職を探す方にとって「いい企業に出会えるかどうか」は運に左右される部分が大きくなっています。ITの力によって運の要素を取り除き、やりたいことができる会社との出会いを提供したいですね。それが我々の使命だと考えていますし、今後に向けて力を入れているところです。
Q:人材×ITが実現すれば、いずれキャリアコンサルタントは必要なくなるのでしょうか。
清田
そこをIT化するのは難しいでしょうね。人の思いは機械には分かりませんから、会話をしながらディスカッションができる人間は必要だと思います。
大谷
機械的な作業であればITに頼れますが、コミュニケーションを通してその人に合った提案ができるのは人間だけです。人材業界に限らず、今後もそういった役割が消えることはないでしょう。例えば将来的にレジ打ちが自動化されても、ブティックのコンシェルジュのような仕事はなくならないと思います。
Q:IT化に向けて、どのような社内ツールを導入されていますか?
清田
サーバーサイドではクラウドや社内基盤を使っており、言語はPHPやScalaなどですね。最近はテストやデプロイリリースの自動化、CIとしてはテストケース作成を繰り返しているところです。スクラムで開発を行うなど、新しいものは一通り試している感じです。
歴史の中では課題が生まれ、それを解決するために新しいものが出てきます。つまり、新しいものには古いものよりも良い部分があるということですから、できるだけ新しいものを取り入れるようにしています。
大谷
導入の判断基準は、エンジニアが高いモチベーションで活用していけるかどうかです。新しいものにチャレンジできるメンバーを集めているので、今のところはうまくいっていますね。リスクの少ないものであれば積極的に試していいと思いますし、大きなものであれば数年後にもその技術を使えるか、サポート体制が整っているかを含めて総合的に判断しています
Q:新規事業もスタートしているそうですが、今後の展望をお聞かせいただけますか。
大谷
キーワードは「ユーザーファースト」です。現在の転職サービスは、かなり企業サイドに寄っています。Yahoo!ディレクトリのように固定のカテゴリ内に決まった企業があり、しかも一定の期間しか掲載されていないため、ユーザーの機会損失が非常に大きいのです。そこを徹底的にユーザーファーストに変え、ユーザーが自分に本当に会いたいと思ってくれる企業とコンタクトを取れるようにしたいと考えています。
今年から具体的な取り組みを始め、現在はエンジニアの採用を進めている段階です。優秀なエンジニアが続々と入ってきているので、ぜひ成功させたいですね。規模で勝つのではなく、少数精鋭のテクノロジーチームで「技術のインテリジェンス」を作っていきたいです。
清田
私は、エッジの効いた会社を作りたいです。何でもできる技術屋ではなく、1つのことに特化して「○○といえばインテリジェンス」というブランドが欲しいですね。それが何なのかをこれから模索していきたいです。
Q:優秀なエンジニアになるために必要なものは何だと思いますか?
大谷
普段から向上心を持って行動できるかどうかだと思います。そして、新しいものを恐れずに飛び込んでいくことが大切ですね。そういうことの積み重ねが、エンジニアにとっての成長に繋がると思います。
先ほどもお話しましたが、私は自分のスキルやキャリアに対する危機感が非常に強いです。しかし、技術の会社を作ろうとしている人間がそこで怖気づいていてはいけません。原動力になっているのは、インテリジェンスを業界No.1の会社にしたいという思いですね。2番手は「No.1になりたい」という思いがモチベーションになりますが、1番手は業界を大きくするために動き、マーケットを作ります。現在のインテリジェンスをそういう会社にするためには、技術力がキーになると考えています。ですから、チームメンバーには技術に対して情熱がある人を集めています。「まだまだこれからだけど、一緒に技術の会社を作ろう」というメッセージを伝えて、共感して入社を決めてくれた方が多いです。
清田
私が出会った優秀なエンジニア達は、知識欲や新しいものに対する好奇心が旺盛です。「仕事だから」と課題感だけで技術に取り組んでいるのではなく、「面白い」「もっと知りたい」という姿勢で積極的に知識を取り入れています。失敗を恐れずにチャレンジするのも彼らの共通点ですね。
私も新しい知識を得るのが好きですし、現在はチームを先導するためにも知識が必要なので、いいバランスが取れています。ただ、「新しいことをしよう」というだけではチームを引っ張ることはできません。まずは自分がチャレンジしてみて、「こういうことができるからやってみよう」と示してあげることが大切です。優秀なエンジニア達の先導者になるためにも、今後も学び続けなくてはいけませんね。
Q:お2人ともご結婚されているそうですが、エンジニアの仕事と家庭の両立についてどのようにお考えでしょうか。
大谷
大前提として、家族や健康は仕事やサービスよりももっと重要だと考えています。例えばプロのスポーツ選手は、試合だけで生計を立てているわけではありません。試合はあくまでも、練習や健康管理の成果が発揮できる場所です。試合を仕事、日頃のバックグラウンドを生活と考えるのであれば、どちらも一生懸命できるような技術者になってほしいと考えています。チームメンバーにも大切な家庭がありますから、家族に何かがあったときにはそちらを最優先してもらうのは当然のことだと思います。
私には1歳になる子どもがいますが、家が遠いので帰宅するのは子どもが寝た後になってしまいます。その分、休日はできる限り家族と過ごすようにしています。
清田
結婚して子どもができるとなかなか勉強時間が取れなくなってしまいますが、大谷も含めてチームメンバーは必死に技術に食らいついています(笑)私自身、仕事をするのも子どもと遊ぶのも楽しいので、どちらを取るべきか毎日悩んでいます。今のところは休日を育児や家事に充てて、隙間の時間に勉強している感じですね。私も毎日やりたいことを楽しんでいるので、子どもにものびのびと育ってほしいです。
Q:最後に、これからエンジニアとしてキャリアを積まれる方へのメッセージをお願いいたします。
清田
私が就職した頃は、エンジニアにはシステム系の会社という選択肢しかありませんでした。しかし最近は、エンジニアが働ける業界がどんどん増えてきています。社内にエンジニアがおらず自力で頑張っている大手企業も少なくないですし、今後はどこの企業も内製化が進んでいくと思います。エンジニアの需要は高いので、ぜひそういったところに飛び込んでみてください。エンジニアの力があれば事業のサイクルが速くなりますから、技術を通して世の中に大きく貢献できるはずです。
大谷
エンジニアは、理想的なワークライフバランスを実現できる仕事です。パソコンさえあれば仕事も勉強もできるので、うまく立ち回ればワークもライフも充実させることができます。基礎さえ身につければ応用がききますし、勉強癖がつけば知識はどんどん入ってくるので、ぜひ頑張ってください。
エンジニアになりたての頃は、大変なこともあると思います。辛くても頑張って続ければ力になりますし、そこを乗り越えればきっと楽しいはずです。ただ、無駄だと感じたときはやめることも1つの選択肢だということを心に留めておいてください。いろいろなことにチャレンジできる会社に入り、若いうちからいい経験を積んでいただきたいです。