「絶対的な信頼関係が新たな事業を生み出す」

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株式会社オンライフ
専務取締役COO 二木俊介

1980年8月28日生まれ 私立八王子高校卒業後、19歳で起業。Web→PCサポート→通信建設→ホスティング→代理店など7社の社長or役員に就任。2008年から2012年5月まで株式会社ウィルゲートの取締役、2013年1月に(株)オンライフ専務取締役COO就任

 


 

COOまでの道のり

 私が起業をしたのが19歳の時なんだけど、それには理由があって。実は大学一年の時に子供ができたの。学費と生活費を稼ぐためにアルバイトをしなければいけなかったんだけどアルバイトの面接を合計30社受けて・・・全滅w。理由は今考えれば当たり前ですが金髪でメッシュ、タンクトップにカラーパンツといった服装で・・・そりゃ落ちてもしょうがないw

 面接でことごとく落ち、「雇われる側が無理であれば、雇う側に立つしかない」と考え、19歳の時に起業しました。当時は(2000年)ネット環境もあまり整っていなかった。ダイアル回線で「ピーガガガ」の時代。ホームページを持っている会社の方が少なかった。特に私が住んでいた立川や青梅という地域の会社はホームページがほとんどない。ホームページを持っていたとしても50~70万円で制作してもらったと言っていたので、「5万円で作りますよ!」と言って営業をしていました。青梅市の東京商工会議所の法人会員が当時4000社あったので、2億円の市場があるじゃねーか!って。

 それから約半年は妻に働いてもらって、子供を抱えながら本屋でHTMLの本を読んでコーディングを覚えた。当時は有限会社300万円、株式会社1000万円の開業資金が必要でしたので合資会社からスタートしました。資本金2万円でね。

 最初はホームページ制作事業を行ってたんだけど、お客様からの要望もあってPCサポートを行い、回線工事・設定などの事業も増やしていった。ホームページ制作事業を始めた一人の時は月500件回って営業をかけて案件を頂いていました。その中のある新聞社に「青梅から学生起業家誕生!」と言った内容で新聞(一面)に取り上げてもらってからは地元で有名な企業から依頼をインバウンドでもらえるようになった。

 27歳の頃、従業員は50名都内4拠点の規模になり、売上、利益、態度のでかさもそこそこのところになっていたんだけど、当時のNo.2の幼馴染に仕事と社員の大部分を持っていかれて、縮小せざるを得なくなった。PCや車両などはローンやリースを組んでいたので残ったのは4200万円の借金。1つの事業(通信建設)を残し借金を個人に切り替えて会社を弟に任せ、おしゃれな都内に旅立った。それから約1年は経営コンサルタントとして複数社のコンサルティングを行い毎月70万円の返済を続け、08年にウィルゲート社に入社する事になった。ウィルゲート社では営業組織の立ち上げや、マーケティング、商品設計、事業企画を行い、社員10名から100名ほどの成長までを経験。

 そして2013年1月に株式会社オンライフに専務取締役COOに就任。

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絶対的な信頼関係が、新たな事業を生み出す

 
 COOの役割としては、事業の設計と遂行を行う事だと思ってる。社長はビジョンと事業ドメインを決定し、COOはそれを上流工程から設計し細かいところまで機能するようにするのが役割。特にベンチャーの場合、社長とCOOの役割がしっかりしていない会社が良くあるよね。最終決定が社長であり、ボトムアップ型でいいアイデアがあってもまったく推進しない。COOは事業の最高責任者なんだから最終決定が社長の会社は、信頼関係がないんじゃないかなって思う。

 オンライフのように小さい組織の場合の競合優位性はスピード感と失敗したときのリカバーの速さにある。事業としてやるかやらないかの意思決定に関しては10分?15分くらい。そのためのリサーチも数日間。そのくらいの感覚でやらなきゃ大手にすぐやられちゃうから。

 先日六本木に飲食店を出したんだけど(3店舗目)、いい物件があるとのことで社長と夜中の2時くらいに店に見に行って、次の日に決定。半月後にはOPEN。新規事業に関してもそう。チャンスがあればドンドンやる。

 僕は年間2億円?3億円のコストを使う(人件費、広告費、開発費、制作費など)。これを使うたびに社長に稟議書を書いて「いいっすか?だめっすか?」みたいなことをやってたら年が明けてしまう。だから、いちいち御申し立て仕らなくても使える信頼を得ている。でも、実は5000円のMacのマウスを買うのには社長にヘーコラ頭を下げている。これがCOOの役割。ここを混同してしまうと組織が弱くなったり、派閥を創りだしたりしちゃう場合が多い。

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信頼を獲得するには当然成果を出す事。これしかない。

 僕はオンライフに入社する前の6ヶ月間は約4社のコンサルティングをしながらオンライフ社でアルバイトしてたの。オンライフからのオーダーは6ヶ月間で「利益」という成果を出す事。結果的に目標に対して会社全体で190%、僕の見ていた部署だけで言うと260%の達成をした。具体的な業務に関しては組織の見直しを行ったり、マーケティング施策の見直しを行ったり、特段特殊な事をしたわけではなくって、成果を出すためにどこを改善していけば良いのか見極めて徹底的に改善していくだけ。

 目標を達成させる事は大前提で、それを当然のようにやる事で、「この人に任せても大丈夫」と思ってもらう事ができて信頼を得られる。成果を出して、信頼を得て、将来的なビジョンや、方向性だけ経営陣としっかり共有できた状態で成果を出しておけば、細かな意思決定や、軌道修正に関してはとやかく言われない。

 よくさ「自分は頑張っている」という人がいるけど、頑張るなんてのは当たり前で達成するのも当たり前。「頑張って成果が出ない人」より「頑張らなくても成果が出る人」の方がよっぽど価値がある。結果が出ていない人の中には「責任を取って辞めます」という人もいるけど、そういう人は吐き気がするくらい嫌い。「責任を取って成果を出します」という認識を持ってもらわないと困る。オーナーじゃない社長や取締役は会社が利益が出していないと経営責任を問われる。要するに給料が出なくなる。成果を出さなければ採用をしている意味もないからね。社員には利益をだしてもらわないと。そうやって利益を出し続けると(利益だけが成果じゃないけど)そこに信頼が生まれるわけ。そういう人材がドンドン出世していけば組織が強くなる。

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COOを目指す方へ

 経験を積む事。たくさん経験して、たくさん失敗をすれば「こうすれば失敗する」という経験が溜まっていく。僕はこれまでたくさんの失敗をしてきたので、こうすれば失敗しないという方法がわかる。クジ引きに例えると、はずれクジをすべて引いてしまった後の当たりくじしか残っていない状態。

 失敗の中で学んだんだけど、企業の業績が悪化している大体の原因は3つしかないと言う事。【商品が悪いか】【営業が悪いか】【資金がないか】この3つに限る。例えば前にいた組織では商品が悪かった。値段の付け方、サービス内容など他社に比べると競争力のない商品。入社してすぐ価格を定額制に切り替えたり、インセンティブ制度を構築したり、悪い部分を徹底的に改善すると同時にいいところを伸ばす。そうする事で新たな悪い部分といい部分が見えてくる。あとは繰り返していくだけで既存事業に関してはある程度よくなる。新規事業も最初の立ち上げ以外は一緒。

 また毎日行っている事としては毎日2個、知らないことを覚える事。新しい事を2個ずつ毎日覚えれば1年で730個でしょ?僕はこれを13年間欠かさず行っているので約1万個もの単語や事柄を知っている。当然知識がないよりあった方がいい、先日薬事法関連でニュースが出たけど、ニュースが出た瞬間に行動を起こし、今事業化に向けて進んでいる。事業はスピードが命だからそのニュースが出た時に「薬事法ってなんだ?」と一から調べていたら初動が遅れて事業として成り立たなくなる。なんにでも興味を持って調べてみると新しいモノを発見できる。誰よりも早く経験や知識を身につけていかないとビジネスでは負ける。成果を出す事は当たり前。そのために知識を蓄える事、経験する事、失敗する事が重要なんじゃないかな。

 無理して急いでCOOになって悩むより、経験積んで満を持してCOOになって活躍するほうが面白いと思う。毎日仕事が憂鬱だと嫌だもんね。