「事業が成長するなか、社長解任のカウントダウンが始まる」 ~ 絶望的な状況をどのように乗り切ったのか? ― 株式会社ネットプロテクションズ 代表取締役社長 柴田紳

■PROFILE
株式会社ネットプロテクションズ

代表取締役社長 柴田紳
1975年生まれ。福岡県出身。一橋大学社会学部を卒業。1998 年、日商岩井株式会社(現・双日株式会社)に入社。2001年、ITX株式会社に転職。当時凋落の一途を辿っていた株式会社ネットプロテクションズの買収に携わり、出向。弱冠26 歳で企業再生というマイナスの状態から日本初の決済ソリューション「NP 後払い」を立ち上げる。2004 年4 月、同社の代表取締役社長に就任、同年8月、ITX社より転籍し、現在に至る。

上場準備中に株主の不祥事、新株主とは方針相違

ネットプロテクションズが上場準備中の2011年に、筆頭株主に不祥事があり、株主が変更になりました。
上場が延期されることもショックでしたが、新株主の方針と、私が想定していた事業投資方針が少なからず相違しており、認識のすり合わせに多くの時間を割くことになりました。
というのも、新株主がこれまで行ってきた経営改革手法は、成長が鈍化した企業を買収し、徹底したコストカットと営業ネットワークをもとに再生し、既存事業の地力を蓄えていくというものでした。
着実な成長を目指せる妥当な経営改革手法ではあるのですが、足元の利益にとらわれず、長期の未来をみて次なる成長の布石を打とうとしていた私の方針とは少なからず異なっていたのです。

方針相違の一例を挙げると、今では年間70%成長をしている当社の事業の柱の一つであるBtoB事業は1年6ヶ月近く本格的な営業をストップさせられていました。
2017年にやっとリリースした肝いり事業であるatoneも、実は2015年には形になっていたのですが、「今は既存事業の地力をつけるべき」とリリースをストップされていました。
このように、事業投資に関する方針が全く共有できず、個人的には苦しい時期が続きました。
社長である私が決裁したことでも、株主の意向でストップさせられることばかりで、社長なのに決裁権がほとんどない時期が3年以上続きました。
※2016年より再度、株主の変更を行い、現在は良好な関係を築いています。

事業が成長するなか、社長解任のカウントダウンが始まる

それでも事業は着実に成長していたのですが、どれだけ地力が蓄えられても、相変わらず株主からは私の事業投資方針に関しての賛同をなかなか得られずに、厳しい交渉を繰り返していました。
そんなあるとき、幹部が一人ずつ株主に呼び出され何かをヒアリングをされたり、呑みに連れて行かれるようになりました。
翌日、本人に話を聞くと、「柴田を解任した場合、君は会社に残るか?」といったニュアンスのことを聞かれているとのことでした。

「解任」の文字が頭をよぎりました。

Xデーが近づく中、何度も挫けそうになりました。

「私の方針は間違っていたのだろうか?」

「たしかに理論上、会社は株主のモノではある。けれど、これまでの成長を担ってきたのは自分なのに」

などと、自問自答を繰り返す日々が続きました・・・

>> 続きはBNGぶっちゃけ社長フォーラムにて