2018年2月28日に開催された「第6回BNGぶっちゃけ社長フォーラム」一部プログラムを限定公開致します。
プログラム紹介
■開催日程
2018/2/28
■プログラム
A会場第二部「チャレンジジャンキーな起業家の脳みそを覗いてみたい」
▶第6回BNGぶっちゃけ社長フォーラム開催報告はこちらから
■登壇者紹介
・登壇者
(株)リアルワールド 代表取締役 社長 菊池 誠晃氏
(株)ZUU 代表取締役 社長 冨田 和成氏
(株)テラドローン 代表取締役 社長 徳重 徹氏
・モデレーター
(株)BNGパートナーズ 代表取締役 社長 藤田 健太郎氏
[公開可能部分のみを記載]
登壇者自己紹介と「チャレンジ」の定義
藤田 健太郎氏(以下、藤田)
本日は「チャレンジ」がテーマになっておりますので、元気よくいかせていただこうと思います!
これまで様々な経営者の方とお話をさせていただいていた中で、チャレンジしている人に話を聞くと、自分は特にチャレンジしている感覚はないとおっしゃる人が多くいらっしゃいました。そこで、チャレンジャーだと言われている方々が、一体どのような思考回路をしているのか・・・といったところを紐解いていきたいと思います。
では、自己紹介と併せて、皆さんが思う「チャレンジの定義」も一緒にお話しいただけたらと思います!まずは菊地菊池さんから、お願い致します。
菊池 誠晃氏(以下、菊池)
リアルワールドの菊池と申します。よろしくお願い致します。私は1997年、大学生のとき、ちょうどインターネットができて普及しはじめたころに愛媛で起業して、受託会社として事業を行っていました。ただ、受託という業態だけだと、ビジョンや先々の成長がなかなかイメージしづらいため、卒業と同時に解散しました。それから5年後の2005年にリアルワールドを設立して、2014年にマザーズ上場し、今に至っています。
現在は、WEB上にいる約1,000万人の会員を活かして、クラウドメディア事業、クラウドソーシング事業を展開しています。
「チャレンジ」と言えば、早速この後なぜかキックボクシンングの試合がありますので、それが今日一番のチャレンジかと思います笑
(会場笑)
定義というところで言うと、藤田さんが先程おっしゃったように、自分ではチャレンジしているという感覚はあまりなくて、自分が好きなことをやれているか、楽しめているのかということを大事にしています。
とはいえ、経営は大変で苦しいことが8割なので、残りの1割、2割を自分が楽しめているかというのが軸になっているのかなと。その中で紐解くと、「チャレンジ」の定義は大きく2つあるかと思います。1つは自分の限界以上のことをやれているかどうか。もう1つは今までやったことのない未知の領域にあえて入ろうとしているか、この2つが私にとってのチャレンジだと思います。
藤田
ありがとうございます。では、冨田さんお願いします。
冨田 和成氏(以下、冨田)
ZUUの冨田と申します。弊社は、だいたい5年ほど前に作った会社で、大きな意味での「資産運用」をテーマにしたプラットフォームを運営しています。今では月間で350万人以上の方たちに利用いただけるプラットフォームになりました。
僕らが定義する「資産」とは、株式、債券、不動産、証券などの想像しやすい資産だけではなく、恐らくこれからの時代は、資産の捉え方がもっと広範囲に渡っていくと考えていて。車とか皆さんが持っているブランド物の服、こういったものはもちろん、もっと大きな意味で言うと、人的資本ですね。皆さんの個人の能力みたいなところもそれに当たると思います。人脈もそうですし、信用というのも資産だと思います。
そういった広い意味での「資産運用」のプラットフォームとして、この関連領域で事業展開をしております。
この事業を展開するまでの話で言うと、大学時代に菊池さんと同じように一度起業しておりまして。デジタルマーケティングの分野で起業しました。そこから全然違う経路になりますが、大手証券会社に入って、支店営業、プライベートバンク、ビジネススクール留学、海外で経営戦略といったことをやって、5年前にZUUを立ち上げ、今に至っているという形です。
「チャレンジ」というテーマなんですが、この言葉は弊社のミッションにも入っています。「個人も人生を経営している」と考えると、一人一人が夢や目標に向かって挑戦する社会、チャレンジする社会をつくりたいという思いを込めたミッションです。なので「チャレンジ」は、僕らにとって大きなキーワードとなっています。
金融の世界では、リスクはコントロールできたら本当の意味でのリスクにはならないので、チャレンジ自体がコントロールできているのであれば、それ自体は全くリスクだとは思っていないですね。ですので、チャレンジを「リスクを取る」という意味で使うのであれば、逆説的に聞こえるかもしれませんが、それは、まだまだチャレンジしているような感覚ではないかもしれません。。
ただ、違う意味の切り方としては、菊池さんがさっきおっしゃったことには、腹落ちしていて、自分の巡航速度以上だとチャレンジに当たるのかなと思います。自分の人生や生活でこれくらいがちょうど巡航速度かな、というものを越えていくもの。例えば普段の速度が時速30kmとしたら、時速40kmや50kmを出すものはチャレンジと言えるんじゃないですかね。距離的なもので例えるなら、ちょうどよい目標が北海道だとすると、実際にはロシアを目指す。というものもチャレンジと言えるんだろうな。先ほど菊池さんのお話を聴いてそんな風に感じました。
藤田
ありがとうございます。限界とか目標を一歩越えるっていうところがチャレンジなんじゃなかろうかと。いうことですね?
ありがとうございます。では最後に徳重さん、お願いします。
徳重 徹(以下、徳重)
徳重と申します。よろしくお願いします。私は、2010年にテラモーターズというEVの事業を立ち上げてました。色々苦労したんですけれども、直近では、インド、バングラ、ベトナムで、年間3万台くらいを製造販売するようなところまで持っていきました。また、グループ会社にはなりますが、テラドローンという新たにドローンの事業を立ち上げて、まだ2年なんですけど、かなりスピードの速い立ち上がりをしている会社もあります。
私自身については、大企業での経験があったり、シリコンバレーで5年ほどベンチャーのをやってましたので、そこがよく異色な経歴だと言われます。あとはこの4年間で言うと、東京には月1週間から10日、残り2、3週間は海外で過ごしています。EV事業のときはアジア、今でも先進国を含めてぐるぐる回っているので、その辺もユニークなんじゃないかと。
「チャレンジ」という意味で言うと、一言で言うと「無茶をする」というところなのかなと思ってまして、特に僕はそこにすごい課題を感じているんです。僕が大学のころは、まだ日本の会社も大企業の経営者でも、結構無茶をしている人がいっぱいいたんです。それがこの25年くらいですごく変わっていて、今はすごく少なくなったように感じています。
我々の「チャレンジ」、いわゆる無茶をするという意味では、色々あるんですけど、一つはセオリーを無視することですね。ベンチャー企業のくせにハードをやったりとか。ドローンはハードじゃないんですけれども、EVはハードなんで。
あとは、最初から世界市場を狙ったりしましたね。しかも、どの市場が来るか分からないので、インド、バングラディッシュ、ベトナム、3地域で全部立ち上げますとか、こういうところをやりましたね。もちろん、いろいろ失敗はありましたが。
そして、やっとEV事業が10億達成できたかと思いきや、こんなもんじゃないよねってドローンの事業も始めたりして。その後も16億の資本金に対して、ドローンのベンチャー企業に5億も突っ込んで…。
投資家からはすごく反対されましたけど、だからこそ結果を出さなければいけないと思っていますし、まだ基盤ができたぐらいかなというレベルなんで、今後も無茶をやっていこうかなと思っています。
これまでの人生の中で、最もチャレンジしたこと、チャレンジの基準
藤田
ありがとうございます。
では次に具体的な内容をお聞きしたいと思います。皆さんの中で、一番のチャレンジ、人生で最もチャレンジしたなと思うものは、どのようなことでしたか。では冨田さんからお願いします。
冨田
…どれだろうなあ。チャレンジ、一番チャレンジか…。まだまだちっさいので、まだ発表できないのですが、ここから1〜2年で仕込んでいるものが一番のチャレンジかもしれませんね。最近はそれで超ワクワクしています。ただ、それと比べると今までのことは大したチャレンジじゃないなと思えてきて、ふと思い出せないくらいでした笑。
藤田
例えば学生時代の起業。これはあまりチャレンジとは捉えてないんですか?
冨田
そうですね、それは大したことないですね。
細かい例をあげれば、1期目、従業員2人のときに新卒を3人採用しましたとか。あとは、従業員30人満たないくらいの規模の時に、国内市場もまだまだみたいなタイミングで、シンガポール法人を作って向こうで何人も雇い始めちゃいましたとか。
気づいたら始めていましたくらいのスピード感で進んできましたね。。シンガポール法人は、設立して、もうすぐ2年くらい経ちますが、シンガポールでは結構知名度のある金融メディアになっています。一般的に考えるとチャレンジと捉えられるかもしれませんが、僕からしたらまだまだかなと。今後は東南アジアの他地域に展開していこうと思ってます。
藤田
…なるほど。そのスピードで自信持ってやっちゃうときは、冨田さんの中で道が見えてるんですか?
冨田
見えてますね。
藤田
それは他の人にも見えてるんですか?
冨田
見えるまで待つことは可能ですが、みんなに道を示して、それを納得してもらってから動く組織形態だと、徳重さんがさっき言ったような無茶をするとか、常識を外れたことはできないと思っています。かと言って、理解してもらわないといけないこともあるのは確かなので、そのバランスは常に必要ですが、そんな時に自分たちの目指している目標やミッション・バリューに立ち返って、ストーリーにして全員に何度も何度も伝えています。
藤田
見えるときっていうのは、どういうときに出てくるんですか。
冨田
…シャワーを浴びてるときとか?
(会場笑)
でも、常に考えてますから。海見てるときとか、見えますよね、「これ、絶対行けるわー」みたいな。「あ、見えた!」みたいな。あれですよ、降ってくるやつ。
藤田
どうですか、菊池さんとか、パッと出てきたりします?
菊池
ありますよね。私が社員から一番嫌だと言われるのは、社長の「あ、思いついた」だって。
(会場笑)
その言葉のたびに仕事が増えるっていう。
藤田
なるほどなるほど(笑)
菊池
私の場合は動いているときの方が多いんですよね。
藤田
上場会社でどこまでお話しいただけるかは分かりませんが、最近も大きな会社から調達をされましたよね?あれも結構なチャレンジですよね。
菊池
そうですね、今回、順番待ち・予約サイトを運営するEPARKさんと、SBIさんの共同のファンドから出資いただいたんです。上場してからこの1年は特に苦戦をしていて、上場後も私が株式比率の50%を持っていましたが、今回の資本業務提携で実質40%になりました。
実は以前にも資本業務提携を行いましたが、最終的には市場で売られることになりました。なので、資本提携においては恐怖症に近いぐらいものがあった状態でしたね。そんな中での今回、結構な比率をお渡しするっていうのは、私の中でチャレンジですし、逆にこれをなんとしてもモノにしてやろうと思っています。
藤田
ありがとうございます。徳重さんはいかがでしょうか?
徳重
僕の場合は、先ほど申し上げたドローンの事業を始めた背景として、EVの事業はメディア的には非常に有名だったんですけれども、売上的にはずっと2億くらいで…。フィリピンのガソリン三輪をEVに変えるというプロジェクトで、29社が入札して僕たちが通ったんですよね。それで10億調達したんですが、フィリピンあるあるで、半年後くらいに全部キャンセルになっちゃったんです。またイチから自分でやらなきゃいけなくなっちゃって…。それでも2年半くらいかけて10億くらいなんとかやりきったんですが、投資家からしたら「やっとか」みたいな感じだったんですけど。でも、なんとか帳尻合わせてきたねっていうことで、上場しましょうという話になったんですよね。
株主に迷惑かけてしまったという気持ちもあったし、僕自身の中でも、こんなレベルでは駄目だよねっていう思いもありました。とは言え、ドローンにも勝算がそこまであったわけじゃないし、しかも、EVはEVで、やっとなんとか立ち上がったところで、社員もみんなヘロヘロしているわけで…。
(会場笑)
だからEVのメンバーは全く呼べないというか…。だから一人でやるしかないということで、また一人で立ち上げて、5人新しく呼んできたはいいものの、この5人はカルチャーすら知らないわけですよ。そんな中でなんとかして、まだ2期目なんですけど10倍くらいにはしたんです。
振り返ってみると、自信があったかっていうとそうではないですね。いつも「60%OKならGO!」って言ってるんですが、やってしまったらもう結果出すしかないじゃないですか。
しかも、これまでずっと応援してもらっていたみずほキャピタルさんに「反対はしませんよ、だけど賛成もしません」と言われたんです。つまり、反対してるっていうことなんですけど(笑)
(会場笑)
ずっと応援してくれていた方にそこまで言われたのもあったんで、絶対結果出さなきゃいけないと思いました。それで半年後、結果らしきものを出したんですが、そのときは不思議なもので、いいところに目を付けたなと言われましたね。(笑)
(会場笑)
藤田
結構、徳重さん今、さらっとお伝えしていただきましたが、一度上場するタイミングがあったわけですよね。30億売上がついて、ここから上場路線に行こうかっていう。
徳重
それで言うと僕、30億じゃなくて、10億のときに意思決定しているんです。5億くらいのときにも、そういったタイミングはありました。新規事業もいきなり飛びこんだわけではなくて、半年間くらいドローンだけじゃなくて、AI、ビックデータ、クラウド、IoT、ロボティックスとかの今どきのものを調べまくった中で選んだんです。それで、選んだからには結果を出すしかないということでやりました。僕の中でも相当リスクをとってきた感じですね。やっぱり市場ってタイミングが全てなので、無茶はしたんですけど、なんとか帳尻合わせて基準点に立って今、みたいな。
なぜチャレンジをするのか
藤田
皆さんが絶対に聞きたがっているであろう「なぜチャレンジをするのか」についてはいかがですか?
徳重
30歳のときから日本発メガベンチャーっていうのがずっと僕のテーマなんです。その信念を持って頑張ってやっていくと、EVだけで多分100億ぐらいは行くんですよね。だけど、そんな規模じゃまだまだだなって。日本的には無茶だと思われるかもしれないけど、海外基準だとひよっこみたいなもんだと思ってるんです。海外でいろいろすごい人を目の当たりにすると日本はまだまだだなって思っちゃう。もちろん海外だけじゃなくて、僕が大学の頃に知ってた明治の起業家とか、大企業の経営者だって、もっともっとこれよりも無茶やってたんですよね。それからすると、まだ全然駄目ですよねみたいな。そういう感じはあります。そういう「負けん気」がチャレンジにつながっているのかもしれません。
藤田
同じ海外で戦う仲間として、冨田さん、どうですか。海外の人たちと日本人の違いとかって感じますか。
冨田
僕がこれまでに深く付き合ってきた人たちは、シンガポールとかタイなので、中国やアメリカのシリコンバレーとかはまたちょっと違うんですけど、東南アジアの人たちと比べると、日本人は意外と頑張ってるって思っています。フィンテックを見ると、日本のほうが全然攻めてる。つい5年、10年、20年前を比べると、日本の起業家の勢いとか、考える視点とかが変わってきてるのかなと感じています。
藤田
なるほど。冨田さんの中で、なんのためにチャレンジされていらっしゃるんですか。
冨田
僕の中では、最終的に世の中がこんな風にわくわくする世界になったらいいなっていうイメージがあって、そこから逆算してるだけなんです。例えば42.195キロ走るミッションがあった場合、人生の一生をかけて走りたい人と、1年間で走りたい人、10分で走りたい人では、やらなきやいけないことが全く違う。そもそも手段として自分の足だけじゃなくて、自転車や車、新幹線を使ったり、10分の人だと、飛行機を開発しなきゃいけないかもしれない。
なぜチャレンジしてるか、どこまでがチャレンジだと思ってるかについては、人生を通じてどこまで走り切りたいと思っているか、どこまでをリスクと思ってるか、ただその差があるっていうだけの話ではないかと思います。人生を通じて走り切りたいものに対して毎日わくわくしてるっていう。
僕の場合は、南極の氷がとけるくらい世の中のみんなが熱くなってたら最高じゃん!って。自分の夢に没頭するってある意味自己満足かもしれないけど、それぞれの人生にとっては最高だって思っているし、自分もそうありたいし、みんなにもそう思ってほしいから、それをやり続けてるっていうだけですね。
藤田
冨田さんが持ってらっしゃるそういった「情熱」は、昔からあった価値観なんですか?
冨田
小さいときから少しずつ蓄積されてきたって感じですかね。目標持って挑戦してっていうことをずっと繰り返してきて、その過程が最高に楽しくて。そんな中で唯一、暗闇のような期間っていうのがあったんですよね。小さいときからサッカーでプロになりたいと思って、オーバーワークになるくらい練習してたら大学のときに重度のヘルニアになってしまって…。つまり、それと同時に夢が断たれたんですよね。普通に生活する分には問題なかったんですけど、みんなで盛り上がってるときでも、なんか心の中にちょっと隙間があって、ふとしたときにすごい虚無感に襲われて…みたいな期間が半年くらい続きましたね。人が生きることにおいて、夢とか目標ってこんなにも大きいものなんだなと実感しましたね。だから、自分だけじゃなくて、より多くの人たちが夢を持ってわくわくする世の中になったら、一つの幸せの形になると思うんです。僕はそれを形にするために没頭したいだけです。
チャレンジのゴール設定はどのように行うのか
藤田
その目標の決め方に悩まれる方って多いのかなと思ってまして、そこら辺ってどのように決められていらっしゃるんですか。
冨田
目的からの逆算ですね。こうしたい、こうなりたいっていう目的があって、それを数値化や定量化して、もうちょっと具体化したものを僕は目標だと思ってます。目的は一番自分の中でドライブがかかるのになっているのが超理想的。だって、人生も経営も長距離走だと思うので、一番自分のモチベーションがあるところを一直線でやれてることが最高だと思ってます。
藤田
ドライブがかかるところをどのようにして見付けられてきたんですか。
冨田
ベタなものだと、モチベーション曲線は意外と有効ですね。人生についてモチベーション曲線を描いてみる。つらかったとか、楽しかったとかだけじゃなくて、懐かしの場所に行ったら、胸がきゅーんとするみたいな。振り返ってみると、やっぱりあのときって良かったんだなと思える感覚を持てたかどうかで判断して。曲線が高いところは充実していたとも言えるので、そこを分解していくと、ある共通点が見えてくると思います。
藤田
ありがとうございます。菊池さんはいかがですか?
菊池
そうですね。最終的にノリですかね(笑)。
(会場笑)
人に伝えることはすごく大事かなと思います。インプットって、アウトプットすることによって生かされてきますよね。先ほど冨田さんがおっしゃってた因数分解に近しいんですが、自分の経験っていうインプットも含めて、自分がなぜそこに喜びや楽しみを感じるのかを自己整理していく。そうすると、人の繋がりとか、社会に何を還元できてるのかとか、そういうところに繋がっていくと思うんです。その根底となる自分自身のモチベーションの原点と向き合うことが、最終的にはそのチャレンジにつながってくるのかなと思います。
藤田
好きなことをやるということと、経営者としての立場。これらの間では葛藤があったりするものでしょうか?
菊池
…葛藤というか、好きなことをやるためには、8割、9割、嫌なことでもしないといけない。例えば富士登山で言うと、登っている最中ってすごい大変なんですけど、やっぱり頂上に行くっていう目標があるので、その一つ一つのつらさや大変さも、楽しみに切り替えることができる。ゴール設定が全てなのかなと思います。
藤田
菊池さんは実際にどのようなゴール設定をされていらっしゃるんですか?
菊池
抽象的になってしまうんでうすが、最終的には自分に負けないってことです。時代や状況によって変化せざるを得ないものってあるとは思いますが、自分が負けずに頑張ることで、周りに少しでも自分も頑張ろうと思う人たちや関わる人が増えていくとか。僕はそこに自分の生きがいや価値を感じていて、そこがあっての数字的目標だと思いますね。
藤田
ありがとうございます。
お二人とも自分の好きなことをしていて、自分の強みを知るためによく自分との対話をされてらっしゃるんですね。徳重さんも同じですか?
徳重
僕の場合、対話については、メディア取材で聞かれる質問で壁うちというか、考えさせられることが多かったです。「そのタイミングでどうしてそう思ったんですか」とか、「どうしてそういう意思決定したんですか」っていうのを聞かれるから、考えなきゃいけないんですよね(笑)。
あとはやっぱり、僕の場合、もう本当に海外との行き来が長いので、どうしても日本自体を外から見ることができるというのも一つかもしれないなと思います。
やっぱり大事なのって、先ほどから出てるところだと思うんですけど、同じジャンルの事業を経営してても、全然テーマとかやり方が違うんですよ。それってやっぱり、経営者と起業家の好き嫌いで違いができているのかなと。テイストで言うなら僕はスケールが大きいなのが好きなんですけど、それよりはプロダクトが好きでやってたりとか、また違う切り口があると思う。
好き嫌いで好きなことをやるっていうのが一番いいこと。会社はストレスだらけなんで(笑)、少なくとも軸は好きなことをやるとか。会社って継続性が重要なので、自分が本当に情熱を持って継続できることじゃないとできないと思いますね。
これまでチャレンジしてきた中で、最も手痛かったこと
藤田
ありがとうございます。これまではいい部分にフォーカスしてきたので、ここからはチャレンジをしたが故に一番手痛かったことなどに突っ込んで聞いていきたいなと思うんですけど、冨田さん、どうですか?
冨田
2期目の途中から、証券口座開設などのリードジェネレーションビジネスを始めて、それがそこそこ伸びたんです。、でも、3期目の終わり頃に、ちょうどマイナンバー制度が動き始めた時期と重なったんです。口座開設にマイナンバーが必要になったんで、口座開設が急減し、そこでガクっと売り上げが下がって…。ただ、最初かなりきつかったのですが、そこまでにいくつか新しい事業を仕掛けていて、そちらの伸びが数ヶ月後に一気に来たので、結果としては成長できましたが、あれは流石にかなり焦りました。
藤田
菊池さんはどうでしょう?チャレンジしていく中で、結構いろいろな過程があったと思うんですけども。
菊池
私は本当に失敗多き人生なんですけども、その中でも結構なチャレンジだと思うことは、当時、周りのベンチャーがどんどんエグゼクティブ採用を進めていたんです。うちの場合は新卒採用を重視してずっと伸びてきた会社だったんですけど、いざ上場してみると、5年以内に新卒で入社した社員が全体の7割になってたんです。この事実を見たときに、今後健全に上場経営できるかと、正直心配になりました。会社のカルチャーに合うエグゼクティブの活躍人材に来てもらいました。その中で半分ハマって、半分ハマらなかった。会社を変えるカンフル剤になるだろうという期待とは裏腹に、組織がうまくいかなくなってしまったんです。正直今もその余波はまだあって、まさしく再生の真っただ中なんですよ。あれは、自分の中では次に行くためのチャレンジで、上場企業として大きく跳ねるために一か八か賭けました。(苦笑)。
藤田
今思うと、あのときこうしておけばよかったなと思うことはありますか?
菊池
エグゼクティブを採用するにせよ、自分たちのコアといいますか、一番重要な人材は何かってしっかり認識して、そこを守ることがやっぱり大切だったと思いますね。エグゼクティブ採用を強化したタイミングで新卒採用をすごく絞ってしまったんです。そこが一番いけなかったと思います。
藤田
なるほど。みなさんがチャレンジするためには、幹部の人たちともうまくかみ合っていかないと難しいと思うんですけども、その点において、徳重さんの中で思うところはありますか?
徳重
会社的にかなり無茶をやっているので、若い社員も中途の人も含めて、2段階ぐらい上の仕事になっちゃうんですよね。インターン時代から苦しいときを乗り越えて8年ぐらい行ってる社員が2人いるんですけど、彼らは後から来た社員とのコミュニケーターの役割を担ってくれています。社内で「社長、なんでまた無茶なことを始めるんだ」という声が上がったときに、間に入って、その背景や文脈を説明してくれたり…。一回失敗してる人っていろんな意味ですごく強い。
いかにこういう社員の層を厚くして、そういうリーダーの数を一人でも増やせるのかっていうのが、スケールするときのポイントなのかなと思っています。
今回、新しく3人、起業を経験した人を採るんですね。3人とも会社を自分で辞めて、もう一回会社に入り直すみたいな。ゼロイチを立ち上げるとか、1とか10とか、本気で事業を作ってきた人材って日本にはすごく少ないので、やっぱりそこは起業を一回経験した人にジョインしてもらって、活性化したいっていう。とは言えビジョンが一致してるかどうかが大事なんで、その最低レベルをクリアした上でチャレンジしようとしています。
チャレンジし続ける理由
藤田
ありがとうございます。お時間がきてしまったので、最後に、なぜこれらの失敗をしてでもチャレンジをし続けていくのか。その先に一体何を成し遂げたいのか、また、次なるチャレンジについてお話しいただければと思います。冨田さんからお願いします。
冨田
目指してる最終的なチャレンジは、先ほどもお話しした「南極の氷がとけるほど世界を熱くする」というのを目指していて、世の中の人たちが夢に向かって100%チャレンジして、世の中が燃え上がっちゃう。そうすると、南極の氷すらもとけちゃうっていうような世界になることに対してチャレンジしていきたいと思っています。世の中にそういった価値を与えられる会社まで行きたいと思ってます。
あとは、今、マルチメディア戦略を目指していて、世の中には、テレビ、雑誌、新聞など、様々なメディアがあると思うんですが、それらメディアを巻き込んで様々なチャレンジをしていきたい。既存メディアの方たちの常識を覆すようなことを仕掛けていきたいなというふうに思ってます。
藤田
ありがとうございます。徳重さん、いいですか。
徳重
僕は日本の衰退に対してすごく危機感を持っていて、このままだと、どんどんどん悪くなってしまうと思っている。今、日本の経済を支えているのは自動車産業ですが、これも4つのディストラクティブテクノロジーの波、つまり自動運転、電動化、シェアリング、それからコレクディッドによって大きく影響を受けるんじゃないかと思っている。でもやっぱりディストラップするほうの会社が現れないと経済は向上しない。新しい会社、新しいテクノロジーをディストラップするような波が今はほぼないので、僕としてはその波を起こしたい。
野球でいうと、野茂が大リーグにチャレンジしたときに、誰もが無理だろうって思ってた。でも、野茂がやった後には、行くのが当たり前みたいになってる。アントレプレナーとか、起業のほうも今は世界でも大変だみたいになって、実際もう本当大変なんですよ。だけど、なんか道ができれば、つまり、成功事例が一つできれば、それに続く人はたくさんいると思うのて、僕がその道を開きたいと思っています。
藤田
ありがとうございます。では、最後、菊池さん、締めていただいてもよろしいですか。
菊池
周りですごいチャレンジ…というよりも、どん底から這い上がってる人っていう表現のほうがいいかもしれないんですけど、私がすごいよくしていただいている先輩で、UTグループの若山さんっていう方がいらっしゃるんですけども、この方はリーマンショックで、個人で40億の借金、時価総額は当時で言うと6億ぐらいまで落ちてたんですね。普通だったら、どう見ても自己破産して、会社倒産するだろうって思われると思うんですけど、その方は諦めずにずっとやり続けて、そこから8年ぐらいでその借金を完済して、つい最近、時価総額1,500億ってニュースでやってたんです。こういう人ってやっぱりかっこいいですよね。諦めないというか、自分を信じ切るって。
私は去年、一昨年と、本当にきついことが次々起こったと感じていましたけど、そういう人たちを見ると、全然大したことないなって思うんですよね。この人たちがこれだけのことをひっくり返したなら、自分もやってやろうと。それと同時に、自分が行動することによって、その後、同じように壁にぶち当たった人たちが、同じように希望を持てるんじゃないかと。諦めてる人が諦めなくてもいいようになっていくんじゃないかと。
自分の生き様っていうところもそうですし、自分たちのやっている事業を通してもそうしたいと思ってますし、根本はそこあると思ってます。
その上で、これから何にチャレンジしていくかということなんですけど、ちょうど今、いろいろ詰めている真っ最中なので、5月辺りに回答したいと思ってます(笑)
藤田
ありがとうございます。1問だけでも質問にお答えいただける時間がありまして、どなたかございませんでしょうか。
藪ノ
クックビズの藪ノと申します。私もメガベンチャーを日本から生み出したいということで、日本の強みである食関連のベンチャーをやっています。チャレンジをするにあたって、常にマックスで走られてるのか、それとも、状況によって止まることも必要だったりしますか?チャレンジのネガティブというか、チャレンジしない時間というのはあるのかなというのをお聞かせいただければと思います。
藤田
それでは、菊池さんお願いします。
菊池
結論から言うと、走れるときは走り続ける。走らなくてもいいときは、走れなくなったときでいいと思うんですよ。
去年、一昨年の2年間は大きなチャレンジができなかったんですが、上場前の売上倍増を目標に掲げていた時期と比べると、どちらも大変ではあったんですが、倍増に向けて動く大変さと、チャレンジをしなかった2年間の苦しみを比べると、恐らく2年間の方が大変だったんじゃないかと思います。
前に進もうとするとそれだけ摩擦も多くなるし、大変で苦しかったり、みんな心配になったりすると思うんですけど、動きが止まったときにみんなが夢を失うことに比べたら全然大きな問題ではないんじゃないかと感じています。
藤田
ありがとうございます。お時間が来てしまいましたので、一旦こちらで締めさせていただきます。今日のまとめとしては、やはり経営は好きなことじゃないと続けられない。そして「続ける」ことがすごく重要だと。また、みなさんは、次に何をしようか、どんなインパクトを出そうか、ということを常々考えられながら進まれていらっしゃるのかなというふうにお見受けしました。今日はありがとうございました。皆さん、お三方に大きな拍手をお送りくださいませ。ありがとうございました。
(会場拍手)