「むちゃぶり、大好きです」 株式会社クラウドワークス 取締役 CFO 佐々木翔平

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cropped-CW佐々木TOP.jpgQ. プロフィールを教えて下さい。学生時代はどんな学生でしたか。

 私は中学から大学付属の学校に通っていたので、受験勉強もなく、ほとんど勉強もしないような学生生活で高校時代も麻雀したりバイトしたり、というような生活でした。でも、唯一よかった点があるとすれば、大学付属の学校だったので学部を選ぶことが出来たというのはありますね。“経営者になりたい”というのは昔から漠然とあったので、経営学部を選びました。

Q. 経営者になりたい、と思ったきっかけは?

 うちは父親がカメラマンで母親が絵本作家なんですが、その両親の影響からか、自分もどこか企業に属して何かをやると言うよりも、自分の力で物を作ったりだとか、自分の発信によって人に影響を与えられたりだとか、そういうところになんとなく自分がやりたいことがあるかな、と。別にスポーツ選手に今からなれるわけでもないし、芸人になれるわけでもないので(笑)自分に何が出来るかなって考えたときに経営者になるのが一番近いんじゃないかな、ということを考えていました。

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Q. 簿記2級を持ってるから上場企業の管理部門に?(笑)

 そうなんです(笑)大学2年まで、勉強もほとんどしないで過ごしてきたので、さすがにちょっとコレだとまずいな、というか、経営者になるどころか、普通のサラリーマン、就職も出来ないんじゃないかと思い始めて。その時自分は何がやりたかったのかをもう一度考えて、簿記2級を取ったりして、大学3年の夏休みに、アエリアという会社にインターンシップで入りました。当時アエリアのCFOで、今はうちの監査役でもある、須田さんに、「簿記2級持ってるんだったら管理部門をやれば」と言われて・・・。

 簿記を勉強しただけで、エクセルもろくに使ったこともなかったんですけど、とにかく色々なことをやりました。上場会社なので決算書のキャッシュフローを作ったり、アエリアの子会社が20社ほどあったのですが、その連結決算を組んだりとか、開示書類を一通り作成したりとか。でも、何だかよくわからないけどすごいボリュームの仕事があって、わからないながらも見よう見まねで、とにかくどんどんこなしていくというのが肌に合っていたのだと思います。学校の勉強よりもはるかに役に立つし、実際のビジネスの場でさせてもらえることがすごく面白かったです。最初はインターンで夏休みだけのつもりだったのですが、最初の数か月くらいでもう自分がいないと回らないんじゃないかという状況になってきて、もう強制的にじゃあ継続ね、みたいな感じになって(笑)、3ヵ月後くらいには内定をもらってそのまま入社したという流れです。

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Q. クラウドワークスさんの立ち上げに加わった経緯は?

 アエリアから子会社に転籍してCFOに就任をしたのですが、その後フリーランス的に複数の会社のコンサルティングなどをしていた時期がありました。その時にアエリアの須田さんの紹介で、吉田(現クラウドワークス代表取締役社長)を引き合わせてもらったというのがあります。吉田は当時ちょうど、会社を作りたいと思っていて、彼はどちらかという経営とか営業メインの人間で。あとは野村という開発する人間もいる(現クラウドワークス取締役)。でも管理ができる人間がいないので、誰かいないかと探していたところに、ちょうど須田さんが私を引き合わせてくれて、じゃあお手伝いしましょうか、とジョインしたというのがきっかけですね。

Q. 手伝おうと思ったポイントって何かありますか?

 大きく分けると2つあります。1つは、ゼロからつくるというところをやりたかったんです。アエリア本体の経営企画にしても、またアエリアの子会社の社長をしたこともありましたが、やっぱり既に出来上がっていたものを途中から引き継いでやっていたというところがあって、やっぱりそのゼロからつくる、ゼロイチをやりたいっていう思いがすごくあったんですね。やっぱりそこをやらないと意味がないなと思っていました。

 もう1つは、プラットフォームビジネス、場所を作る、みたいなところにずっと興味があって。プラットフォームって基本的に一回それを作ってそれが循環し始めれば、永遠にまわると言うか、もちろん運営する人は必要ですけど、半永続的に、別に自分がいなくなってもまわっていく、そういうビジネスをやりたいなぁっていうのを思っていて。そういう意味でもクラウドソーシングというものに可能性をすごく感じましたし、それをゼロから立ち上げることにやりがいも感じましたね。

Q. 会社立ち上げの時期から管理をする人をつけるっていうのは、かなり早い動きですよね。

 そうですね。そこは、吉田が知識がなかったっていうのが多分あると思うんですけど(笑)CFOといっても会社の登記が終わると、会社の予算を作るくらいで、他にあまりやることはないので、サービス設計の方にほとんど重点を置いてやっていましたね。弁護士と相談しながら利用規約を作るとか、サイトのちょっとしたデザインだとか、サイト上の文言や利用ガイドを一通り作成したりだとか、特にサービスインするまでは大変でした。その後もユーザサポートを一人でやったり、営業もやるし、正直なんでもやるという感じで、CFOらしい仕事はほとんどやっていなかったですね。

佐々木氏2Q.本格的にCFOらしい仕事になってきたのはどのタイミングですか?

 やっぱり人が増えて、会社として仕組みを作っていく必要がでてきてからですかね。資金調達だけでなく、会社としてルールをつくって組織をつくっていかなければならない、というのをやり始めてからなので、本当にここ最近と言う感じです。

Q. 1400万、3億、11億、と大きく3回資金調達されていますが、資金調達にあたって重要だったと思うポイントはどこですか。

 3億円調達した時は、優先株で調達をしたのですが、その優先株の知識と理解はかなり時間をかけてやった方がいいと今は思っています。ベンチャーキャピタルの人って、やっぱり専門家なので、圧倒的に知識の格差があって、気づくと言いくるめられて負けてしまうので、そこに負けないように、対等に話せるだけの準備をしておくというのはすごく重要だと思います。

 自分自身、アエリア時代にM&Aとかベンチャー投資とかもやっていたので、ある程度わかるものだと思っていたのですが、その優先株というものに関しての知識が足りない気がしました。特に最近、優先株でのファイナンスがわりと一般的になってきていますよね。

Q.11億の調達のときはどうでしたか?

 うちのステージでいうと、3億を調達した時はまだサービスリリースして半年も経っていない頃で、要は「ビジョンを買ってもらった」という感じの投資だったと捉えています。ビジョンや、吉田の思いや、それを支える僕らの思い、を買ってもらって、その将来の成長の可能性にかけてもらう、共感してもらう、という要素が多かったと思いますね。去年、11億調達した時は、サービスが順調に伸びたというトラックレコードが出てきていたところでした。このまま行けば軌道に乗るよね、ちゃんと利益出して成長できるよね、というところが見えてきたタイミングでした。そういう意味では投資家からすると投資しやすい状況になってきていたのもあり、僕らも調達によって大きく投資して一気に市場を拡大させたいという思いもあり、それでうまく成立した、という感じでしょうか。

Q. CFOを目指す人が、若いうちにやっておくといいことはありますか?

 そうですね。もちろん大企業に行かれる方もいらっしゃると思いますし、何をやりたいかだとは思います。もしせっかくベンチャーとかに興味があって、例えばCFOになりたい、と思うなら、早い段階で自分が責任を持てる環境に身をおくことが大事だと思っています。僕は本当にたまたま運が良くて、インターン時代に責任ある仕事をやらせてもらったり、新卒で入ってすぐ(子会社の)社長になったり、という経験をつませてもらったのですが、それによってやっぱり環境や立場が変わると目線が変わることがわかりました。だから、そういう環境になるべく身をおくとか、自分からそれを探すとか、が大事だと思います。それに関しては運の要素も結構大きいかも知れませんが(笑)

 でも、自分で一つ決めているのは、「悩んだら厳しい方をやろう」ということです。クラウドワークスに加わる前、経営を見ていたアエリアの子会社も従業員が200名くらいで大変な状況ではあったので、そこは悩みどころではありました。でも明らかに、クラウドワークスを立ち上げて、会社作って、メガベンチャーへ成長させる、といった道の方が圧倒的に険しいのはわかっていたので、やっぱりそれにチャレンジするべきだなと思って決めました。楽な道に行きがちな人も多いと思うので、厳しい道を選んでいったほうが多分次のステージに上がれると思っています。

 

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